熱い戦いになってきた東京都知事選。都民でなくてもこのビッグウェーブに乗るしかない。大人力コラムニストの石原壮一郎氏が都民でなくても都知事選の楽しみ方を伝授する。
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あんな人やこんな人やそんな人が出馬を表明して、東京都知事選(23日公示、2月9日投開票)がいよいよ盛り上がってきました。東京都に住んでいる人はもちろん、それ以外のところに住んでいる人も、せっかくの旬の話題ですから大いに活用したいところ。
重要な争点について、友人や同僚と議論を戦わせるという活用の仕方もあるにはあります。しかし、居酒屋の隅で鼻の穴をふくらませて小難しい話をしたところで、しょせん自己満足の域を出ません。もっと自分の日常に引き寄せるのが、大人の貪欲さであり一種のプライドです。そんなわけで、都知事選をどう語れば少しでもモテるかを考えてみましょう。
●作戦その1「5代前ぐらいまでの都知事の名前をさりげなく並べる」
猪瀬直樹(2012年12月~2013年12月)、石原慎太郎(1999年4月~2012年10月)は覚えていても、それより前になるとスラスラ言える人は多くはありません。石原慎太郎の前は青島幸男(1995年4月~1999年4月)で、その前が鈴木俊一(1979年4月~1995年4月)、もうひとり前は美濃部亮吉(1967年4月~1979年4月)です。
「慎太郎が12年以上やってて、その前が青島で、その前が鈴木で、ああ、美濃部っていうのもいたよね」
さりげなくそう呟けば、たいした知識じゃないのに、深い教養がありそうに見えます。
●作戦その2「泡沫候補を踏み台にして目の前の女性をおだてる」
都知事選といえば、バラエティ豊かな泡沫候補が名物です。ま、誰までを泡沫候補に入れるかは議論が分かれますが、適当なひとりを選んで、お近づきになりたい女性にこんなふうに言ってみましょう。
「もし○○ちゃんが都知事選に立候補したら、美人候補が出てきたって話題になって、何にもしなくてもあの候補の10倍は票が入るよ。もしかしたら当選しちゃうかもね」
相手はまんざらでもない気分になって、こっちは彼氏の泡沫候補から本命に一気に昇格できるに違いありません。