昨季、日本女子プロゴルフの賞金女王を23歳の若さで初めて獲得した森田理香子選手。夏場に大きく調子を崩しながらも強靱な精神力で逆転した。そんな彼女が支えとした「師弟の絆」を訊いた。
* * *
開幕から賞金ランキング1位を走ってきたので自分自身に「タイトルを獲らなきゃ」という気負いがありました。調子が悪くなった8月以降は記者から「今年は賞金女王が獲れそうですね」と話を振られるだけでプレッシャーになり、精神的にもきつかった。一時期は周りが見えなくなるほど思い詰めていたんです。
昨年3月の開幕戦で横峯さくらとのプレーオフを制して優勝し、その後6月までに3勝するも、夏から終盤にかけて思うような結果を残せず苦闘の日々が続いた。終盤は横峯にランキング1位の座を明け渡したが最終戦を前に再逆転し辛くも栄冠を勝ち取った。
重圧を乗り越えられたのは師匠の岡本綾子さんや同門の仲間たちがいたからです。岡本さんは「今年で人生が終わるわけじゃないよ」と声をかけてくれました。その言葉が胸に響き、肩の力がスッと抜けました。仲間たちからは「別に賞金女王は獲らなくてもいいんだよ」と言われ、やはり楽になりました。
言われればその通りで、今年ですべてが終わるわけじゃない。これからも長いゴルフ人生を歩むわけですから。そう思わせてくれたのが岡本さんたちでした。
もう一つ、私を奮い立たせてくれたのが横峯さくらさんの存在です。女王争いをしたさくらさんが伊藤園レディスで優勝し、残り2試合を残して賞金ランキングで逆転されたことは大きな出来事でした。
追い抜かれたことで、かえってやるべきことが明確になり「残り2試合で這い上がるだけだ」と覚悟を決められました。
さくらさんは2009年の賞金女王獲得など実績があるので、周囲の期待も大きく相当なプレッシャーだったろうと思います。私は初めて賞金女王に挑む立場で、彼女ほどのプレッシャーはない。そう思えたことがプラスに働いたのかもしれません。