今では大リーグを目指していると公言する高校球児も珍しくないなど日本のプロ野球はメジャーへの通過点になりつつある。だが、いま大リーグで活躍する日本人プレーヤーが、もし続けて日本球界に残っていたらどのくらいの成績を残せたのか。
ありえない話ではあるが『プロ野球なんでもランキング』(イースト・プレス刊)の著者・広尾晃氏の協力を得て、イチローが日本でプレーを続けた場合の成績を算出してみた。
イチローは日本では通算9年で1278安打、118本塁打、打率.353。2000年にメジャーへ移籍後は、通算13年で2742安打、111本塁打、打率.319。日米通算4020安打を放ち、張本勲氏の3085安打を抜いて、日本人通算最多安打を記録している。
そんなイチローが、日本に残っていたらどうなったのか。1992年にオリックスでプレーを始め、2001年以降は大リーグの記録をベースとし、試合数は日本の数字に合わせて出場率を掛けて算出。四球は2割程度増えてそのぶん打数を減らし、打率は10%アップ。二塁打、三塁打、本塁打、打点は20%アップ。盗塁はメジャーと同じ比率で盗塁率を打数で掛けた。
この想定だと、プロ野球初の4割を2004年に達成し、同い年の松中信彦の三冠王を阻止。2009年には張本勲に次ぐ2人目の3000本安打を達成して、2010年には西岡剛と最多安打、首位争いでデッドヒートを演じる。2012年からは巨人へ移籍し、2013年までのプロ通算22年間で通算2744試合に出場したことになる。広尾氏は語る。
「日米最大の違いは試合数です。メジャーは162試合で、日本は130試合前後。それで数字が変わってきます。
2000年まではオリックスでの成績を活かし、以降はメジャーの記録をベースに算定しました。それからメジャーではほとんど四球を選ばなかったが、日本では勝負を避けられて四球が増えるので打数が減ると想定します。また、打率はメジャーでは10%悪くなったので、日本では逆に10%上がるとの計算に。メジャーでヤンキースに移籍したので、日本では巨人に移籍したとしています」(広尾氏)