昨年11月、「エロすぎる!」と問題になったのは、食用きのこメーカーのホクトが販売する無菌きのこのCMである。きのこの精(要潤)が買い物する主婦に「普通のきのこと立派なきのこ、味がいいのはどっち?」と囁き、立派なきのこを握らせるといった“大人のユーモア”満載のCMだったのだが……。
「10月後半から11月上旬に流したCMについて、一部のお客様からお声が寄せられ、内容を差し替えました」(ホクト営業企画室)
『宣伝会議』編集長・谷口優氏は、こう語る。
「以前のCM作りでは、見た目が嫌などの感覚が左右する、いわゆる“右脳的”な不快感に配慮していました。今はそこに“左脳的”要素も加わった。コンプライアンス上も、突っ込みどころがないと“理論武装”してからでないと作れなくなってきています。
ますます説明的なものが増え、“冒険と挑戦”は減っていきます。社会に対して意見をいえず、物議を醸すならやめておこうという力が働くようになってしまうのです」
企業側の過剰自粛がCM文化の衰退を招いているというのである。
※週刊ポスト2014年2月14日号