国内

CMへの苦情 右脳的な不快感配慮だけでなく左脳的要素追加

 ドラマ『明日、ママがいない』(日本テレビ系、水曜10時)が養護施設の子供への偏見を生むなどとの批判を受け、番組スポンサー企業全社がCMを自粛した騒動が波紋を呼んでいる。自粛の波が及ぶのは番組制作だけではない。

「私はコレで、会社を辞めました」

 そう言って、カタブツ風の男性が、小指を立てて見せる。1980年代の禁煙パイポの名CMだ。同CMもおそらく今の時代なら、流行語どころか「不謹慎」「教育上不適切」などという声に屈していたことだろう。歴史を繙けば、CM自粛が最初に始まったのは1989年の昭和天皇崩御だ。

 日産セフィーロのCM「みなさ~ん、お元気ですか~」(井上陽水)の音声が消される出来事をご記憶の方も多いだろう。「明るいCMは不謹慎」という風潮は、東日本大震災のCM自粛にも通ずるものがある。ただし、配慮しすぎることが違和感に繋がることも。

「AC(公共広告機構)のCMばかり流れ、息苦しいとの声が出始めた際、エステーが消臭剤のCMを流した。ミゲル君という少年が元気よく歌うCMでしたが叩かれるどころか、意気消沈している日本人に元気を与えた、と評価されました」(広告関係者)

 ただしそれは一部の例、リスクを冒してまで自社のメッセージを伝えようとする企業は稀である。

 全日空は、今年3月から羽田空港発着の国際線が増えることをアピールしたCMで、お笑い芸人のバカリズムが付け鼻・金髪姿で登場したことが、「外国人をステレオタイプに見ている」との批判を受け、放送を中止した上で問題シーンを差し換えるなど内容を修正。

「3月30日からの羽田発着増便を踏まえ、日本人もこれからはもっと海外で活躍し、世界で必要とされるようになっていこう──という意図でこのシーンを作成しました。当社の意図と異なるご意見をいただいたことについては真摯に受け止めます」(ANA広報部)

 キリンビールは、今年1月缶チューハイのCMにカエルのキャラクターを採用したところ、「お酒のCMにあんな可愛げのあるキャラクターを使用してはいけない」「未成年の飲酒を誘発する」という指摘を受け、放映を取りやめた。

「アルコール問題を扱う団体からお声をいただきました。弊社は一般のCMの基準よりもさらに厳しい独自の基準を設けているのですが、ご指摘を真摯に受け止め、放送中止を決めました」(キリン・コーポレートコミュニケーション部)

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン