フジテレビ、TBSなどかつて「民放の雄」といわれたテレビ局が凋落の一途をたどる中、「弱小局」と揶揄され続けてきたテレビ東京が快進撃を続けている。
視聴率では、平日プライムタイム(午後7~11時)でフジやTBSを抜いて民放4位に位置することも珍しくない。経営面でも、昨年4~9月期の経常利益の伸び率は91.5%増をマーク。昨年の年間視聴率で初の2冠を獲得したテレビ朝日を抑えて、民放トップの伸び率だ。
1964年の開局から半世紀。長い苦境の時を経て、今まさに「テレ東の時代」が到来したというのは、上智大学の碓井広義教授(メディア論)だ。
「規模、予算、すべての面で他局に劣る“弱者”のテレ東ですが、めげずにコツコツと努力を重ねてきた。視聴者のテレビ離れが叫ばれ、各局が様々な制約に苦しむようになって、長年の努力がようやく実を結んだんです」
確かに、テレ東発の番組は絶好調。ならではの新機軸を続々と打ち出している。特徴は“ゆるさ”だ。
来日する外国人をスタッフが成田空港で勝手に出迎え、その場で交渉して日本観光に密着するゆる~い番組『YOUは何しに日本へ?』(月曜18時30分~)はコンスタントに7~9%の視聴率を稼ぐ。
同じく、さまぁ~ずが街をぶらぶらと歩くだけのユルユル番組『モヤモヤさまぁ~ず2』(日曜18時30分~)は、アシスタント役で、局のエース女子アナの大江麻理子アナ(35)がニューヨーク転勤になり行く末が危ぶまれたが、天然キャラの狩野恵里アナ(27)の抜擢と放送時間拡大という秘策が当たった。視聴率は大江時代をしのぐ勢いだ。
看板番組のひとつ、『出没! アド街ック天国』(土曜21時~)も堅調だ。裏番組のTBS系『世界ふしぎ発見!』が豪華絢爛な海外ロケを敢行しているにもかかわらず、「八王子」「秩父温泉」などのシブ~いローカル特集で迎え撃ち、なぜか視聴率では劣らない。
2月1日の放送では、ロシア特集を組んだ『ふしぎ発見』に対し、『アド街』は西荻窪特集で勝負を挑み、どちらも9.8%の引き分けに持ち込んだ。
「なんでやねん!」というTBS局員の歯ぎしりが聞こえてきそうだ。