中国の国家統計局は1月、昨年のGDPを56兆8845億元(約9兆4000億ドル)と発表。新聞には「日本の2倍」という見出しが躍った。日中のGDPが逆転したのが2010年のことだから、わずか3年で大きな差を付けられたことになる。
しかし、それは国の豊かさとイコールではない。 「一人当たりGDP」で見れば日本の4万6736ドルに対し、中国は7000ドルにも届かない。これは南アフリカ(7507ドル)よりも低く、まだまだ途上国の水準にある。韓国にしても2万3113ドルで日本の半分に過ぎない(中国以外の数字は2012年のもの)。信州大学経済学部の真壁昭夫教授が解説する。
「GDPは国内で生み出された付加価値の総計です。一人当たりのGDPは国民の生活水準をそのまま示すもの。中国の統計は各省の出したGDPと整合性が取れていないなど信憑性に疑問があるが、それでも日本とは埋めがたい差がある。企業の儲けと個人の収入を合わせた『国民所得』や、労働者に支払われた報酬の合計である『雇用者報酬』を見ても同様です」
日本の一人当たりの国民所得は中国の約6倍、韓国の約2倍となる。国民所得から企業の取り分を除いた雇用者報酬に至っては、総額で見ても人口が10倍以上ある中国より日本のほうが多い。
とはいえ日本は成熟国家であり中韓はまだまだ成長途上という解説もされる。確かにGDP成長率の数字で見れば日本は中韓に劣る。しかしこれが即ち近い将来の豊かさの逆転を意味するわけではない。前出・真壁教授が続ける。
「モノやサービスを生み出す生産年齢人口(15~64歳)の増加が経済成長を支える根幹です。日本では1992年をピークに減少に転じて低成長の要因となったが、中国も一人っ子政策の影響で2011年にはピークアウトしていますし、韓国も急速に少子化が進んで生産年齢人口が再来年にはピークを迎えると予想されています。これまでのような高成長は望めない」