「だから」「ですから」「だって」「でも」──。皆さんも周囲との会話で、こうしたフレーズを使っていませんか? 私はこうした言葉を頭文字からとって「D言葉」と名づけています。トラブルの初期対応で、こうしたフレーズは禁句です。簡単に収まるトラブルも、D言葉が火に油を注いでしまうのです。では、このケースで「だから」がNGだとしたら、どんな言葉が適切だったのでしょうか。
それは、名づけて「S言葉」です。「失礼しました」「すみません」「承知しました」──。こうした相手に同意を示すフレーズを駆使すれば、トラブルは未然に防げたかもしれません。先ほどのタクシーの中での会話を、「S言葉」でやり直してみましょう。
客「ちゃんと聞いているのか!」
乗務員「失礼しました。次の交差点を右に曲がればよろしいですね」
こう返されたら、客は怒るポイントを逸してしまう。「S言葉」を上手に用いていれば、このケースでもトラブルもなく、つつがなく目的地に到着していたことでしょう。
※援川聡・著/『理不尽な人に克つ方法』(小学館新書)より