ビジネス

だから、だって、でも…トラブル時の「D言葉」は危険が満載

 何気ない一言が、目の前の相手を怒らせてしまうことがある。特に接客業では、顧客を怒らせてしまった場合、猛然とクレームが寄せられることも十分考えられる。そうした契機になり得る言葉にはどんなものがあるのか。新刊『理不尽な人に克つ方法』(小学館新書)を上梓したばかりの元刑事でクレーム対応のプロである援川聡(えんかわ・さとる)氏が、実際にタクシー会社から相談されたトラブル事例を元に解説する。こうした理不尽な人々は「ホワイト・モンスター」と呼ばれているのだという。

 * * *
 私が実際に見た、車載カメラの映像です。時刻は深夜1時過ぎ。客は40代ぐらいの男性で、かなり酒に酔っています。一方、乗務員は実直そうな60代の男性です。

客「次の交差点を右」
乗務員「……」
客「返事がない」
乗務員「はい」
客「ちゃんと聞いているのか!」
乗務員「だから、『はい』って言ってるじゃないですか」
客「なんだ、その態度は! お客をなんだと思ってるんだ」

 客は後部座席から身を乗り出し、今にも乗務員に殴りかからんばかりです。一歩間違えれば、警察沙汰という局面でした。このケース、皆さんならどう考えますか? 酔っ払いが悪い? その通りでしょう。しかし、モンスター化した人間に向かって、「お前が悪い」と言っても始まりません。ホワイト・モンスターが扱いづらいのは、彼らが「自分は正しい」と信じ込んでいて、こちらの意見に耳を貸さないからです。

 さあどうするか。狭い空間で、モンスターと2人きりです。危機的な状況になっても、簡単には「その場」から逃げ出すこともできません。タクシー業は、究極の接客業なのです。

 この会話の中で、実は乗務員が決定的なミスをしています。それはこの台詞です。「だから、『はい』って言ってるじゃないですか」──。客の叱責に対し、不用意に「だから」のひと言を発したことは、大きな失敗でした。

 相手から理不尽なことを言われると、思わず反論したくなるし、厳しい口調で責められれば、つい言い訳したくなるものです。でも「だから」という切り返しは、相手からしてみると、反抗的とも取れますし、逃げ腰とも受け取れる。自分の指摘をきちんと受け止めていないと感じるわけです。

関連記事

トピックス

「動物環境・福祉協会Eva」の代表理事で俳優の杉本彩(HPより)
飼いたい人に知ってほしいペットショップや“愛護団体”の実情 「高額な譲渡費、2度の去勢手術…」「幼齢動物の販売禁止を目指したい」 【杉本彩さんインタビュー後編】
NEWSポストセブン
加賀美セイラ(インスタグラムより)
《ゼクシィ初代CMガール》加賀美セイラ「めちゃくちゃ働いてます」海外挑戦8年の“現在”…奔放な「丸出し」SNSを更新
NEWSポストセブン
年の瀬に向けて多忙な日々を過ごされている雅子さま(2024年11月、大分県。撮影/JMPA)
《来年はもっと海外へ》雅子さま、ご活躍の舞台が急拡大の見通し 来年度の国際親善の経費が大幅に増額、訪問先の有力候補はアメリカとブラジル
女性セブン
日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)主演の神木隆之介
『海に眠るダイヤモンド』制作秘話 神木隆之介はYouTubeでホストを研究、杉咲花は長崎弁に奮闘、ネトフリ配信に間に合わないほど超タイトな撮影スケジュール
女性セブン
カニエ(左)とビアンカ・センソリ(右)(Getty Images)
《過激ファッションで物議》カニエ・ウェストと18歳年下妻、「丸出しで愛を誓う」仰天セレモニーを計画 海外メディアが報道
NEWSポストセブン
怒りの告白をしたJカップグラドルのなな茶
《総フォロワー500万人のインフルエンサー》なな茶がイベント“ファンの大量ドタキャン”に怒りの告白「すべて出禁にさせていただく」「“グラビアなんかしてるから”と心無いコメントも」
NEWSポストセブン
「動物環境・福祉協会Eva」の代表理事で俳優の杉本彩(HPより)
「熱中症で殺したり、溺死させたり…」悪質ブリーダーのヤバすぎる実態「チワプー」などの異種配合は「命への冒涜」【杉本彩さんインタビュー前編】
NEWSポストセブン
三笠宮妃百合子さまの「斂葬の儀」に参列された愛子さま(東京・文京区。撮影/JMPA)
愛子さま、佳子さま、悠仁さま 三笠宮妃百合子さまの「斂葬の儀」で最後のお別れ 悠仁さまは高校を休んで参列
女性セブン
大塚寧々と田辺誠一
《スマホの暗証番号も一緒》大塚寧々と田辺誠一「スピード再婚」から22年「いい夫婦」の愛だけがあふれた日常
NEWSポストセブン
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
《沈黙続ける折田楓社長》「朝、PR会社の方から直接連絡がありました」兵庫県HPから“同社記事が削除された理由”
NEWSポストセブン
犬猿の仲といわれていた織田裕二と柳葉敏郎
織田裕二『踊る』スピンオフ『室井慎次』にこっそり出演 「柳葉さんがやるなら…」と前向きに検討、確執は昔の話 本編再始動への期待も高まる
女性セブン
谷川俊太郎さん(右)への思いを語った中島みゆき(左)(事務所の公式HPより、右は共同通信社)
中島みゆきが独占告白「本当に星になっちゃった。でも星は消えないですから」言葉の師と尊敬する谷川俊太郎さんとの別れ、多大な影響を受け大学の卒論テーマにも選択
女性セブン