首都圏は2週続けて大雪に見舞われ、街のあちこちで慣れない雪かきに悪戦苦闘する人々の姿が目についた。そもそも雪かきはどこまでやればいいのか。住民に除雪作業協力を依頼している東京都日野市道路課はこう語る。
「主要幹線道路や危険な坂道は、優先的に除雪や凍結防止剤の散布などを行政が行ないますが、自宅前の公道などは住民に協力をお願いしています。どこまでという基準はなく、無理のない範囲でのお願いです」
基準はない──そのため、「都心ならではの雪かき事情」が露呈した場所があった。マンションだ。
都内で約700世帯が暮らす大型分譲マンション。そこの管理組合は、組合員だけの除雪作業では無理と判断、館内放送で、“雪かき招集”を住民に呼びかけた。
「2月9日は休日だし、さすがに積雪量が多すぎて、自分たちで何とかしようと思う住民が多く、予想を大幅に上回る30人近くが集まった。エントランス、駐車場、周囲の導線の雪は1日で片付きました」(管理組合理事)
しかし、集まった住民の多くが高齢者だった。
「若い家族ほど、『雪かきは業者がやるものだろう。そのために高い管理費を払っているんだ』といって、非協力的でした。『慣れない雪かきでギックリ腰でも起こしたら、誰が補償してくれるんだ』という者までいた。老人がショベルで重い雪を運ぶ横を、シカトして通り過ぎていく若い夫婦にはガッカリしました」(同前)
この若い家族の言い分が正しいかどうかは後述するが、ともかく集合住宅では「自分たちで住むところなのだから、協力して雪かきするべき」という意見と、「カネを払っているから業者がやるべき」といった“誰かがやってくれる”という意見の真っ二つに割れた。