こうして最近の消費傾向を見ていくと、とにかく値の張るブランド品なら何でも買いあさっていたバブル時代とは異なる消費者心理があることに気付く。すなわち、“新たな価値観”のモノサシである。ニッセイ基礎研究所准主任研究員の久我尚子さんが話す。
「安いから品質が悪い、高いから良いという単純なモノサシで見る時代ではありません。消費社会の成熟化により、今の消費者はファストファッションやファストフードなど安くても品質の良いものが存在していることを知っていますし、比較サイトやネット通販が充実しているので、高品質なものを安く手に入れる手段も豊富にあります。
いまの消費者は、安いものは品質や機能性の高さといったプラスアルファの価値、高いものは満足感や嬉しさ、楽しさなどの精神的に得られる価値などと金額のバランスをしっかり吟味しています。よって、何らかの付加価値がないとブランド品でも買わない世の中といえるのです」
「違いの分かる」賢い消費者が高額品を品定めしている――。となれば、消費増税後や景気動向に左右されず、真の高級ブランドは今後とも生き残っていくだろう。