ビジネス

社会人が文系の大学院修士課程に行く際に注意すべき点を紹介

 大学院で学び直そうとする社会人が増えている。大学院で学ぶ意味、コツはなんだろうか。2年間の修士課程を終えようとする作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が解説する。

 * * *
 2012年4月、私は15年間のサラリーマン生活にピリウドを打ち、フリーランスになるとともに、一橋大学大学院社会学研究科修士課程に進学しました。38歳になったばかりの頃でした。

 あれから2年。大学院修士課程での日々が終わろうとしています。修士論文を提出し、口頭試問も終了しました。

 率直に複雑な心境です。得たものもたくさんありますが、反省点だらけです。

 「私も、いつか、大学院に行ってみたいんです」社会人の方から、そんな声をよく聞きました。

 約2年前、まさにこのNEWSポストセブンで大学院進学の経緯などを書きました。ここで社会人が文系の大学院修士課程に行く際に注意するべき点を紹介したいと思います。

【1】進学先についてとことん詳しくなれ

 その学校、学科・コースの特徴、さらには、指導教官についてまでとことん詳しく調べておくべきです。

 できれば、学びたいと思っている先生とは何らかのかたちで事前に会ったり、少なくとも書籍や論文は読んでおくべきでしょう。出願の際、願書やレポートなどで学びたい教授について書くことがマストのところもあります。しかも、試験の際の面接官は、その先生だったりします。ちå

 この点、私は母校の大学院に進んだので、学部の特徴や、学びたい教授まである程度わかっていたのでよかったです。

 あと、どんな学生が集まるのかについても、情報収集しておいた方がいいです。社会人は多めなのかどうか、レベル感はどうか、などです。ついていけるかどうか心配の方もいるかと思いますが、個人的には、やや背伸び気味くらいの方が有意義だと思います。

 もちろん、場所や講義の実施時間帯など通いやすさも大事ですね。私は自宅からも都心からも遠く、やや大変でした。
 
【2】M0(エムゼロ)期間を有効に使え

 M0とは、大学院に合格してから、修士1年(M1)に進学するまでの準備期間を指します。この期間に、できれば指導教官になる人と面談したり、研究計画をブラッシュアップしたり、可能なかぎり先行研究を読んでおくとスタートダッシュがかなり楽です。

 私の場合、合格が決まってから、入学するまで、ほぼ仕事をしていたので、準備がゼロに等しかったです。このあたりの余裕を持ちたいところですね。

【3】幅広い人と接点を持つ

 入学してからは、同年代の社会人同士でつるみすぎるのもよくないですし、若い人だけとつるんでいてもよくありません。留学生だっています。ベタな表現ですが、多様な人との出会いの場があるわけです。これは大事にしたいです。

 また、出身大学の大学院に行く場合は、あまり出身大学同士で群れないようにしましょう。そして、他大学からやってくる人を見下さないように。「学歴ロンダリング」なんて言葉がありますが、他大学からやってくる人はちゃんと試験をパスしてやってくるだけあって実力派もいっぱいですよ。

【4】経験、常識で語らない

 実は、社会人が大学院に行く場合に最も気をつけるべきことがこれです。学問というのは、「なぜなのだろう?」「本当はどうなっているのだろうか?」と、物事に対して疑問を持つこと、問いを立てることが大事なわけです。それをついつい、経験や常識で説明しがちです。思考停止してしまいがちです。

 いや、もちろん経験が活きることはありますよ。ただ、これにしばられてしまうと、大学院で学ぶ意味がなくなると思います。

 大学院は社会人コースじゃなくても、いまや大学を出たばかりの20代前半の方から、定年退職した60代の方までいるわけですが、年下の、しかも社会人経験のない院生は経験で話されると、反論もしづらいもので、議論が止まってしまいます。

 経験、常識にとらわれないようにしましょう。

関連キーワード

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン