あなたは「紙」派?「パソコン」派? 会議でメモはどう取るべきなのか。そこから見えてくるのは会社の在り方だった。コラムニストのオバタカズユキ氏が考察する。
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紙のノートVSノートパソコン。いったい何時代の対決ですか、という感じだが、日本経済新聞の電子版を読んでいたら、今年の2月16日UPの「創論・持論」というコーナーが目にとまった。若手論客としても知られるチームラボ社長の猪子寿之氏が、インタビューでこう話していたのだ。
「上の世代は会議を記録するときノートとペンを使う。若者はパソコンに打ちこむ。大人の目には失礼に映るが、そのまま大画面で共有でき配布も簡単だ。若者には紙とペンの方が、情報を独占するみたいで失礼に見える。正反対だ」
IT問題に限らず世代間対立を強調するのは感情論につながりやすいから控えたほうがいいと思うのだけれど、会議でのパソコン使用が「失礼」とされるのはたしかにヘンだ。猪子氏は、チームラボのサイト内でも次のように批判している。
「普通に考えると、例えば議事録をノート端末やタブレットでとった方が、同席した人々と瞬時に情報を共有できる。紙のメモ帳とペンで議事録を書くという行為は、同席した人々と瞬時に共有できず、非常に自己中心的な失礼な行為である」
メモ取りをいきなり「非常に自己中心的」と斬って捨てるのは猪子氏キャラとでもいうもので、好き嫌いが別れそうだ。でも、内容は頷ける。ビジネス界におけるありとあらゆる事象のクラウド化、共有化が図られている今日において、会議の議事録はデジタルか、アナログかとやっているようでは話にならない。
ただ、どうなのだろう。企業取材に行くと、かなり高い確率で同席した広報担当者などが、インタビューの様子をノートパソコンで高速打ちしてくれる近ごろだ。「わー、逆に記録されてるー」と緊張させられることが増えている私には、会議だってみんな高速打ちで記録してるんじゃないの、と思えなくもないのだ。
実際どうなのか。会社のちゃんした会議に出た経験に乏しいフリーランスの身なので、各方面の知人にたずねてみた。すると、「パソコンでの議事録取りはもう当たり前」という人たちと、「パソコンを使わない会議が多い」という人たちの2極に分かれた。
「当たり前」と言っていたのは全員、「IT」や「国際」がらみの仕事をしている人々。「使わない」と言っていたのは、それらではない「一般企業」の事情を教えてくれた人々。どうやらその両極の格差が大きい。