「野球といえば巨人だったのになあ」──。そんな声が聞こえてきそうな常夏の島・沖縄。紹介する写真は15日から始まった巨人の沖縄キャンプのひとコマである。スタンドは散歩がてら訪れた近所のおじさんやデートと思しき若いカップルばかりで人影もまばら。これじゃ選手も練習に身が入らないようで、巨人ファンならずともため息をつきたくなる。
とはいえ、沖縄入りする前の宮崎キャンプでは、臨時コーチを務めた松井秀喜氏のおかげで大いに盛り上がった。しかも、球界の「レジェンド」、長嶋茂雄“終身名誉監督”がサプライズ登場した日などは、春季キャンプ(WBC期間などを除く)史上最多の4万2000人の観衆を集めた。
3000台収容の駐車場は満車札止め、球場近くに展示された松井氏の現役時代のユニフォームの前には長蛇の列ができた。
驚くべきこの落差の理由は明らか。「スター不在」である。監督もどちらかといえば地味で、坂本や慎之助に大向こうを唸らせる力はない。一刻も早く、次代を担うカリスマの登場を期待したいものだ。
撮影■太田真三
※週刊ポスト2014年3月7日号