依然として女性は家事や子育てに時間を取られ、やむなくキャリアを中断しなければならない割合が男性より圧倒的に多い。しかし、企業は女性の能力を適正に見極めながら、長期的なキャリア形成を促さなければ、ゆくゆくは経営の屋台骨が揺らいでいくのもまた事実である。
「少子化による労働力人口の減少や、グローバル競争が激しくなる中で、日本企業が活躍し続けるためには、優秀な女性を多数活用して付加価値をつけることが絶対条件になります。これは一朝一夕にできることではありません。
10年後に『やっぱり女性をもっと育成しておけばよかった』と後悔しても遅い。いまは数値目標に縛られず、先を見越した危機感をどこまで感じ取ることができるかが重要な時期なのです」(前出・松浦さん)
溝上氏は「企業は人事評価や企業風土も変えるくらいの意気込みを持たなければ、上辺だけの女性活用で終わる」と警告する。いまのところ政治に求められて沸いているだけの女性の出世バブル。本当の真価が問われるのはこれからだ。