「業績アップで給料増」「消費増税影響なし」「法人税減税で税収増」……日経新聞の書いている通りなら、日本経済の未来はバラ色である。だが、自分たちの都合に合わせて、現実から目を背けているとすれば……それはもはや「ファンタジー」の世界である。
日経新聞といえば、日経平均株価を算出していることでも知られる。我々は、この日経平均そのものについても深く知る必要がある。
そもそも日経平均は、日経新聞が東証一部上場約1700銘柄の中から「市場流動性と業種間のバランス」で選んだ、わずか225銘柄の平均に過ぎない。日経は日々、“日経平均こそ景気指標のすべて”かのように報じるが、「株価の実態を反映していない」と指摘する専門家も多い。
株式運用会社「ミョウジョウ・アセット・マネジメント」代表の菊池真氏が、次のように解説する。
「日経平均は、指標としては価格形成がいびつだとされています。単純平均のため、株価の高い一部の株の動きによって平均が大きく左右されてしまうからです。例えばファーストリテイリング、ソフトバンク、ファナックの上位3銘柄だけで構成比率は約20%と5分の1を占める。これら一部の銘柄の動向に、日経平均そのものが引きずられてしまうわけです」
だからこそ、日経平均は乱高下を繰り返すことになるが、たとえ下落局面にあっても、日経は「中長期的には株高の流れ」を強調し、景気の先行きは明るいという姿勢を崩さない。
「実は日経平均株価が上がると、日経新聞を定期購読していない人でもその日の値動きを気にするためか、駅売りの夕刊が売れる。株価を上げるためには、大企業の業績アップが必要で、必然、法人税は下げたほうがいいとなる。正直、日経が安倍さんを支持しているというわけではなく、安倍さんが大企業の株価を上げるような政策を続けるかぎり、応援し続けるということです」(日経新聞関係者)