東日本大震災から3年が経とうとしている。ベストセラー『がんばらない』で知られる鎌田實医師が、チェルノブイリ原発事故から四半世紀を経過した、ウクライナを訪れ現地の医師に聞いた放射線の影響について報告する
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福島県が実施した「甲状腺検査」の結果を「県民健康管理調査」の検討委員会が発表したが、福島第一原発事故の発生時に18歳以下だった子ども26万9354人が受診し、75人に悪性ないし悪性の疑いがあると判明した。また、手術した34人のうち、甲状腺がんの一種である乳頭がんが32人に見つかり、低分化がんの疑いのある1人、良性結節が1人見つかった。
はたして、この数字が多いのか、少ないのか、意見が分かれている。原発事故による放射能が関係しているのか、いないのか。この分析も科学者の間で意見が分かれていて、単純な結論づけは出来ない。
しかし同検討委員会は「もともとあったものを発見した可能性が高い。原発事故との因果関係は考えにくい」と断定していた。本当にそうなんだろうか──。
ウクライナ共和国では236万人の被災者データを国立記録センターでまとめてきた。その結果、甲状腺がんだけでなく、慢性疾患も多くなっていると発表している。
日本では100ミリシーベルト(SV)以下の低線量なら健康被害はない、とする学者が多い。しかしウクライナの調査では、事故後30kmゾーンから避難した住民でも50~99ミリSVまで低線量被ばくした人は、まったく放射線を浴びていない人の1.3倍、心筋梗塞が多くなったというデータが出ている。
汚染地の人たちの血中フリーラジカルの値が、汚染のない地域の人の3倍になっていたという研究結果が出た。
体内の活性酸素や放射性物質が、このフリーラジカルの値を高くし、動脈硬化を誘発した可能性がある。
チェルノブイリ原発周辺の高汚染地域から避難してきた住民のうち、慢性疾患を持つ人は19 88年に31.5%、2010年には78.5%と一気に増加している。
また子どもたちの貧血も増加しているという。1996年には25%だったのが、2003年には31%、2009年には46.5%に達している。