投資情報会社・フィスコ(担当・村瀬智一氏)が、株式市場の3月3日~3月7日の動きを振り返りつつ、3月10日~3月14日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は上昇。週末には1月29日以来となる15300円を回復する局面をみせた。今週の東京市場は波乱の展開から始まった。週初はウクライナ情勢の緊迫化と北朝鮮のミサイル発射など地政学リスクの高まりを背景に、幅広い銘柄に売りが先行し、一時14500円を割り込む下落に。
その後、「ロシアのプーチン大統領がクリミア半島で軍事演習中の部隊に帰還を指示した」との報道を受け、ウクライナ情勢への懸念が緩和すると、日経平均は欧米市場の上昇なども支援材料となってリバウンド基調が強まっている。また、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)運用をめぐる厚労省草案なども材料視されるなか、木曜日は上がらないとするアノマリーは8週連続でストップ。米雇用統計の発表を控えた週末についても強含みの相場展開となり、日経平均は今年初めてとなる4日続伸に。
今週の日経平均はトレンドが強まる可能性がある。週初は米雇用統計を受けた米国市場の流れを引き継ぐ格好となろうが、マイナス材料としても市場の関心は、10日、11日に開催される日本銀行の政策委員会・金融政策決定会合のほか、その後の黒田東彦総裁の会見。また、週末の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)となろう。
雇用統計については非農業部門雇用者数の市場予想は14.6万人増、失業率は6.6%が予想されている。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は、米経済はFRBの目標を下回って推移しているとの認識を示している。FRBは景気押し上げに必要なあらゆる措置を実施することを確約しており、予想を大きく下回ったとしても、影響は限られよう。
また、先週の東京市場は不動産など、足下でポジション圧縮とみられる流れから調整が続いていた不動産など金融緩和メリット株などのリバウンドが目立っている。ポジション圧縮が一巡する一方、今後は新年度入りを意識した資金流入などから下値の堅さが意識されやすい。日本銀行の政策委員会・金融政策決定会合では過度な期待感はないだろうが、4月の消費増税後の景気への影響が警戒されているなか、先手を打つ格好での取組みが意識されてくるだろう。
週末のメジャーSQについては、先週の急ピッチの上昇によって権利行使価格の中心値が14500円処から15250円へ切り上がりをみせている。ヘッジに伴う押し上げも意識される。そのほか、テクニカル面ではシグナルが好転する確率が高まっている。