投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、3月10日~3月14日のドル・円相場の見通しを解説する。
* * *
今週のドル・円は、日本銀行金融政策決定会合での異次元の量的・質的金融緩和第2弾の可能性、全国人民代表大会閉幕後の中国人民元許容変動幅の拡大の可能性、クリミア自治共和国の住民投票などを見極める展開となる。
【日本銀行金融政策決定会合】(10-11日)
4月からの消費増税に向けて、異次元の量的・質的金融緩和第2弾の可能性が高まっている。10日に発表される日本の10-12月期の国内総生産(GDP)改定値が低調のままだった場合、アベノミクスの「第3の矢」が不調であり、「第4の矢」と目される環太平洋経済連携協定(TPP)交渉も難航していることで、第2弾への期待感が高まっている。
【全国人民代表大会】
中国人民銀行は、全国人民代表大会の開催前に、米ドル買い・中国人民元売りの「非不胎化」為替介入により、中国人民元安誘導を行った。全国人民代表大会が閉幕する12日過ぎには、中国人民元の許容変動幅拡大(1%から2%へ)が発表されると予想されており要注目か。
【フィッシャーFRB副議長の指名公聴会】(13日)
米上院銀行委員会で、フィッシャー氏(FRB副議長)、パウエル氏(FRB理事)、ブレイナード氏(FRB理事)の指名公聴会が開催される。フィッシャー氏は、フォワードガイダンス(将来の金融政策指針)に対して否定的な見解を持つタカ派と見なされており、フィッシャーFRB副議長の誕生は、年内のテーパリング(量的緩和縮小)終了、そして2015年半ばと予想されている利上げ時期の前倒し観測を高めることになる。
【クリミア自治共和国の住民投票】(16日)
クリミア自治共和国は、16日に、ロシア連邦への編入の是非、ウクライナへの帰属を定めた1992年憲法を支持するかを問う住民投票を実施する。住民投票では、ロシア連邦への編入が支持されることが見込まれており、ウクライナに対する国際通貨基金(IMF)や欧州連合(EU)による金融支援、ロシアによる軍事侵攻の可能性などを見極めていく展開となる。
【リパトリ】
3月期末決算に向けた本邦機関投資家によるリパトリ(外貨建て資産売却・円買い)により円買い圧力が強まることが予想される。
3月10日-14日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。