アメリカの金融緩和縮小によって世界のマネーの流れが大きく変わりつつある。そんな中で海外の投資家たちは日本株の行方をどのようにみているのだろうか。外国人投資家の動向について詳しいパルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ代表取の宮島秀直氏が解説する。
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世界の金融市場における目下の最大の材料は、米FRB(連邦準備制度理事会)が実施している「テーパリング」(量的金融緩和の縮小)であることは論をまたない。そして、テーパリングによって、ドル資金が新興国市場から流出するという懸念は、まず、昨年7月のインドネシア、インド、ブラジル各国通貨の急落、そして、今年1月のアルゼンチンペソ、トルコリラ、南アフリカランドの急落となって現実化した。
ソロスファンドを率いるジョージ・ソロスは、昨年末の急速な先進国株高と、これとは対照的な新興国通貨の下落加速を対比しつつ、「新興国通貨の急落が伝播した場合、海外の投資家は緩めすぎたリスク許容度のたがを引き締めるため、日本や米国の株式市場に対しまとまった売りを出すだろう」と同社運用幹部に語っていたことを、12月の現地訪問で確認している。それが、今回のリラとペソの暴落、それに付随した日本株と米国株の下落である程度達成された格好となっている。
この調整を受けて、ソロスのスタンスに変化が見られるようになった。それは、依然として世界の金融市場は不安定としながらも、日本の株式市場についての先高期待だ。1月にスイスで開催されたダボス会議での公式・非公式の発言でも、珍しく日本経済に関するコメントが目立っていた。安倍首相とも会談を行なっている。さらに重要な点は、そうした先高期待はソロスだけでなく、2月以降のEメールによるヒアリングを通じて、バリュー投資を好む海外大手機関投資家を中心に目立ってきたことだ。