今シーズンのスギ花粉の飛散が、ピークを迎えた。日本気象協会によると、1月下旬から2月初めに、九州から関東の多くの地域が花粉シーズンに突入。今年もピークは例年並みで、高松 ・広島・大阪・名古屋・東京は3月上旬から中旬、金沢や仙台は3月中旬からピークを迎えると予測されている。スギ花粉の後はヒノキ花粉の飛散シーズンとなり、北海道のシラカバ花粉は5月上旬に飛散が始まる。同協会では、「一般的に、気温が高く、風が強く、湿度が低い日は花粉が飛びやすく、とくに春一番が吹くような日は非常に多くの花粉が飛散する恐れがある」として、注意を呼びかけている。
慶應義塾大学医学部講師(非常勤)で眼アレルギー専門外来を担当、両国など都内3か所で眼科診療にあたる眼科専門医・深川和己先生のクリニックにも、この時期は目のかゆみなど、花粉症の症状を訴える患者が急増し、3月の患者数はほかの月の1.5倍に上るという。
「花粉シーズンに突入し、大量飛散が起こった2日後に患者数が最も多くなるというデータがあります」(深川先生)
日本眼科アレルギー研究会が、眼科を受診した患者500名以上を対象に行なった「QOL(生活の質)調査」によると、患者が最もつらいと感じる花粉症の症状の第1位が「目のかゆみ」、2位が「ゴロゴロするなどの異物感」。鼻の症状と比較しても、「くしゃみ・鼻水よりも、目のかゆみがつらい」という回答が多かった。
「かゆみとは、“弱い痛み”ですから、我慢しにくいのです。かゆみだけなら、目薬で症状を和らげ、花粉シーズンを乗り切れば問題ありません。目を冷やすのも効果的です。ただし、かいたり、こすったりすると、角膜などに傷がつき、組織障害が起きることもあります。また、最近は花粉皮膚炎や、花粉眼瞼(がんけん)炎も増えています。眼瞼、つまりまぶたの皮膚はとても薄くて繊細なので、花粉と接触することで荒れてしまうのです」(深川先生)