いよいよ、3月28日にプロ野球が開幕する。さまざまな見どころがあるなか、昨シーズン24勝0敗1Sと無双の活躍をしたエース・田中将大の抜けた東北楽天ゴールデンイーグルスがどのような戦い方をするのかも、注目のひとつだ。
1995年の野茂英雄(近鉄→ドジャース)を皮切りに、メジャーに挑戦する日本人エースが増えている。ここでは、エースの定義を、移籍前の過去5年で3度以上2ケタ勝利もしくは25セーブを記録した投手としよう。
すると、野茂を始め、1997年の伊良部秀輝(ロッテ→ヤンキース)、1998年の吉井理人(ヤクルト→メッツ)、2000年の佐々木主浩(横浜→マリナーズ)、2006年の松坂大輔(西武→レッドソックス)、2008年の黒田博樹(広島→ドジャース)、2012年のダルビッシュ有(日本ハム→レンジャース)などの17投手が該当する。
松坂と井川慶(阪神→ヤンキース)がメジャー挑戦した2007年までは、エースの流出したのべ10チーム中8チームが順位を落としていた。1995年、野茂の抜けた近鉄は2位から一気に最下位に。伊良部のいなくなった1997年のロッテ、小宮山の消えた2002年の横浜も最下位に転落。1998年、FA(フリーエージェント)で吉井理人が抜けたヤクルトも、4位に落ちてしまった。そして、松坂という大黒柱を失った2007年の西武は、26年ぶりのBクラスとなる5位に低迷したのだ。
だが、こうした情勢は、2008年以降変わってきている。エースが流出したのべ7チーム中5チームが、翌年の順位を上げているのだ。スポーツライターはこう分析する。
「以前と比べ、エースの抜けたこととチーム順位は比例しづらくなっていますね。その理由はいくつかありますが、まず1990年代と比較した場合、外国人枠の増加が挙げられます。1997年までは一軍出場3人まで、1998年から2001年までは一軍出場は投手2人、野手2人の計4人に限られました。2002年以降は投手3人野手1人、野手3人投手1人というケースも認められるようになり、チーム事情により、使い分けができるようになりました。
黒田を流出させてしまった2008年の広島は、この制度を上手く利用しました。3人の外国人投手を獲得。ルイスが15勝と完全に黒田の穴を埋め、シュルツ、コズロースキーは中継ぎで大車輪の活躍を果たし、前年の5位からクライマックスシリーズ進出へあと一歩の4位に順位を上げました。
2002年の横浜や2007年の西武も、外国人投手を3人在籍させましたが、すべてが計算通りに活躍とは行きませんでしたから、広島のスカウティング能力が高かったとも言い換えられます」
エースが抜けてもチームが躍進できる理由は他にもあるという。