復興資金は国民への臨時増税で賄われている。民主党政権時代、各省庁が復興予算をこっそり沖縄の道路建設や霞が関庁舎の改修など被災地と無関係の事業に流用していたことが発覚(経緯は福場ひとみ著『国家のシロアリ』=小学館刊に詳しい)。
安倍首相は就任直後の13年1月の復興推進会議で「使途の厳格化」を指示。自公政権はそれ以降、「流用はない」と説明してきたが、大嘘だった。霞が関の「復興埋蔵金」ともいうべき隠しガネが残されていた。
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被災地から遠く離れた大分県。震災後に急ピッチで整備されたのが山間を走る林道(森林作業道、林業専用道)だ。木材を伐倒、運搬する林業専用機械やトラックが通る道で、県の林務管理課によれば2012年度に約23億円が注ぎ込まれ、「日田市を中心に221kmを整備した」という。今年度も約24億円が投入されている。すべて復興予算だ。
大分だけではない。「津波で多くの住宅が流され、復興には木材が足りない」という理由で全国になんと2432kmもの林道が建設された。
霞が関は復興予算の一部を役所の天下り先の公益法人や自治体が管理する「基金」に補助金として配分し、プールさせた。総額は約2兆8000億円。これが復興埋蔵金だ。このカネは安倍首相の流用禁止令の後も「タニシ駆除」「ゆるキャラPR」といった復興と無関係の事業に使われた。冒頭の林道も「森林整備加速化・林業再生基金」にプールされた資金が使われた。
復興庁は昨年7月になってようやく基金の流用を認め、残っているカネを国庫に返還する方針を決めた。流用計画があった基金のカネは約1兆1600億円(16基金、23事業)にのぼっていた。
ところが、シロアリはなおも抵抗しているのである。会計検査院の調査では、基金の執行率は12年度末の時点で28.7%(被災地に使われたものも含む)にすぎない。流用基金の1兆1600億円のうち約7割の8000億円程度が返還される計算になる。ところが、復興庁の発表によれば返還見込み額はたったの1017億円である。なぜそんなに少ないのか。