国内

福島県いわき市 歓楽街で遊ぶ避難者に憤り感じ快く思わぬ声

  人が集まり、立場の違い、環境の変化が重なれば諍いや軋轢が生じるのは世の常だ。新聞やテレビから伝わってくるのは美談や感動ばかりだが、現実の被災地からは不協和音も多く聞こえてくる。これも被災地の現実として目を背けてはならない。多くの被災者を受け入れている福島県いわき市の現状をフォトジャーナリスト・いたがき秋良氏がレポートする。

 * * *
 東北でも温暖な気候で知られるいわき市は33万人の人口を誇る福島県第2の中核都市だ。震災後は福島第一原発事故で被災した2万人以上の長期避難者を受け入れている。その避難者といわき市民の軋轢が漏れ伝わるようになったのは一昨年12月ごろからだ。

 2012年12月23日、いわき市役所本庁舎をはじめとする公共施設3か所の柱などに黒いスプレーで書かれた「被災者帰れ」の落書きが見つかった。翌2013年1月9日未明には、双葉郡楢葉町と広野町の避難者計1800人が暮らす仮設住宅などで、停めてあった車7台が何者かに破壊される事件も発生した。狙われたのは避難者のマイカーで、窓ガラスを叩き割られたりペンキがかけられたりしていた。

 当時のいわき市長・渡辺敬夫氏が記者団に、「(双葉郡の避難者は)東電から賠償金を受け多くの人が働いていない。パチンコ店も満員だ」(河北新報2012年4月10日)と苛立ちを見せたこともある。そして「いわき市民と避難者の軋轢」という構図が被災各地に伝わるようになった。

 いわき市内を取材すると、いたるところで避難者を快く思わない声が聞こえてきた。特に多いのが、歓楽街で遊ぶ避難者に対する憤りだ。

「以前ほどではないけどね。いまだに『俺たちは避難者だから支払いを負けろ』という連中がいるの。飲んで気晴らししたい気持ちはわかるけど、こんな狭い店に大人数で連日のように入り浸ってさ。あの人たち、どうかしてるわよ」

 そう話すのは、歓楽街「田町」でスナックを営む40代女性だ。彼女は著者が初見客であるにもかかわらず、怒りにまかせて不満をぶちまけた。

「初めて飲みにきた客(避難者)に、1万円ちょっとの支払いをツケにしてくれと言われたこともあったわよ。『近いうちに賠償金が入るからそれで払う』ってね。常連さんだってそんなことは言わないよ。だいたい、賠償金で飲んだくれてるなんてね。『カネはいらねぇから2度と来んな!』って追い出したわよ」

関連記事

トピックス

第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
日米通算200勝を前に渋みが続く田中
15歳の田中将大を“投手に抜擢”した恩師が語る「指先の感覚が良かった」の原点 大願の200勝に向けて「スタイルチェンジが必要」のエールを贈る
週刊ポスト
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
裏アカ騒動、その代償は大きかった
《まじで早く辞めてくんねえかな》モー娘。北川莉央“裏アカ流出騒動” 同じ騒ぎ起こした先輩アイドルと同じ「ソロの道」歩むか
NEWSポストセブン
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手
【「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手】積水ハウス55億円詐欺事件・受刑者との往復書簡 “主犯格”は「騙された」と主張、食い違う当事者たちの言い分
週刊ポスト
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト
4月24日発売の『週刊文春』で、“二股交際疑惑”を報じられた女優・永野芽郁
【ギリギリセーフの可能性も】不倫報道・永野芽郁と田中圭のCMクライアント企業は横並びで「様子見」…NTTコミュニケーションズほか寄せられた「見解」
NEWSポストセブン
ミニから美脚が飛び出す深田恭子
《半同棲ライフの実態》深田恭子の新恋人“茶髪にピアスのテレビマン”が匂わせから一転、SNSを削除した理由「彼なりに覚悟を示した」
NEWSポストセブン
保育士の行仕由佳さん(35)とプロボクサーだった佐藤蓮真容疑者(21)の関係とはいったい──(本人SNSより)
《宮城・保育士死体遺棄》「亡くなった女性とは“親しい仲”だと聞いていました」行仕由佳さんとプロボクサー・佐藤蓮真容疑者(21)の“意外な関係性”
NEWSポストセブン
過去のセクハラが報じられた石橋貴明
とんねるず・石橋貴明 恒例の人気特番が消滅危機のなか「がん闘病」を支える女性
週刊ポスト