いよいよプロ野球が開幕を迎えるが、特に注目したいのは、戦力が大きく入れ替わった中日ドラゴンズだ。落合博満ゼネラルマネージャー(GM)、谷繁元信選手兼任監督という新体制で臨む2014年の中日は、4人の新外国人選手、ロッテを自由契約となった工藤隆人、巨人からフリーエージェント(FA)で小笠原道大を獲得。一方で、先発要員だった中田賢一がFAでソフトバンクへ、年俸の大幅ダウンを提示され、退団した井端弘和は巨人へ移籍した。
外国人は未知数であり、小笠原や工藤はここ数年活躍していない。ファンにとっては、不安の残るストーブリーグとなったが、吉兆を示すデータもある。過去9度のリーグ優勝のうち、実に5度が巨人から選手を獲得した年なのだ。
巨人のV10を阻止し、2度目の優勝を果たした1974年は、ベテラン広野功が巨人から古巣の中日に出戻り。このときの監督である与那嶺要も、元巨人だった。
星野仙一監督が率いた1988年は、巨人を自由契約となった仁村薫を引き取ると、その年に仁村はキャリアハイとなる成績を残した。星野第2次政権下の1999年には、シーズン途中に捕手の吉原孝介をトレードで獲得している。
落合博満監督が就任した2004年には、巨人コーチ就任の決まっていた川相昌弘が突然の原辰徳監督の辞任に伴い、引退を撤回。落合監督に請われ移籍すると、貴重な場面でバントをきっちりと決め、チームに貢献した。落合監督2度目の優勝となった2006年には、FA移籍した野口茂樹の人的補償として捕手の小田幸平を指名。谷繁に次ぐ2番手捕手として、活躍している。
また、3度目の優勝となった1982年には選手の移籍こそなかったが、巨人のV9戦士である黒江透修が参謀として、前年から近藤貞雄監督に仕えていた。2010、2011年の連覇時にも巨人からの移籍はなかったが、2009年に以前巨人の抑えを務めた河原純一を獲得しており、小田は変わらず在籍していた。
振り返ると、中日の過去9度の優勝には、巨人に色濃く染まった人間が必ずといっていいほど関わっているとわかる。この傾向は偶然なのか。あるスポーツライターはこう分析する。