第1話が終った後に、第2話の宣伝もかねてでしょう、キムタクが登場した「スマステーション」(テレビ朝日)。その番組の中で視聴者から問いかけが入りました。
「二人で演じたいのはどんなドラマ?」
質問に、「相棒なんてどう?」と好き勝手にキムタクに問いかける香取慎吾。
一方で、しばらく考えこみ、どんなドラマがいいのか、なかなか答えられず固まったままのキムタク。その姿に、行き先の定まらないアイドルの苦悩を感じとったのは私だけでしょうか?
キムタクが2枚目アイドルから脱皮し、1人の成熟した役者として生きていくには……まず「これをやりたいんだ」という、ほとばしる肉声が聞きたい。他者によって作られるアイドルではなく、自分の意志で演じる道を歩んでみて欲しい。単なるアイドルであることを、越えて欲しい。
たとえば……無茶ぶりということを承知でいえば、キムタク主演の「時計じかけのオレンジ」(監督 スタンリー・キューブリック)なんて、見てみたくないですか? 私は見てみたい。狂気を孕んだキムタクの、どこまでも透明なままに爆発する暴力性。
ロードームービーならば、「イージー・ライダー」(監督 デニス・ホッパー)。あんな映画に挑戦して欲しい。剣道で鍛えた腕っ節でチョッパーバイクを引き回し、社会の硬直した制度と大地を思い切りねじふせて、世の中へのいらだちをぶつける。そんなキムタク、あり得ないでしょうか?
あるいは、二枚目のカードを切るなら、「太陽がいっぱい」。(監督ルネ・クレマン)。アラン・ドロンに学んで、憂いをたたえた退廃的な二枚目を、演じてきってみて欲しい、あっち側まで振り切れて、遙か彼方へ飛んで行って欲しい。アロン・ドランはこの映画で、単なる二枚目を超える挑戦に打って出たのです。
要するに、求められた二枚目像に答えるのはもういい。破綻していいから自分本位の役者へと向かっていって欲しい。そんなキムタクに会ってみたい、と願うのは、もはや私だけではないはずです。