さらに寺山教授は釜石市内の脳卒中患者がほぼすべて搬送される県立釜石病院の患者データをもとに、人口1000人あたりの脳梗塞発症数を算出した。すると震災前の3.3人、震災1年後の3.2人に対し、震災2年後は4.2人に増加した。寺山教授は次のように話す。

「震災3年目も被災地の高齢者の血圧は依然高く、脳卒中の発症率も右肩上がりの傾向が続いています。高血圧がどれくらい続くと脳卒中を発症するかは明確ではないが、対策として住環境の整備が急務です」(寺山教授)

 前出・辻教授の調査では、現在は自立しているが近い将来、要支援・要介護になる怖れのある「二次予防事業対象者(特定高齢者)」の該当率が11年夏の28.6%から12年冬に48.5%まで上がり、以降、高止まりしている。全国平均の2倍近い値だ。

 実際、2011年5月末~2013年5月末に認定された要介護・要支援者の伸び率は宮城県が18.8%で全国1位、福島県が14.3%で2位だった(全国平均11.3%)。辻教授はこう警鐘を鳴らす。

「震災がなければ現役だった方々が仕事、収入、生きがいを奪われて生活不活発になり、介護が必要となるリスクが生じている。地域の見回りなど、孤立する高齢者へのケアが必要です」

※SAPIO2014年4月号

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