サクラサク季節、作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が「それでも大学に行くことには意味があるという話」を展開する。
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3月中旬、ホリエモンこと堀江貴文氏のTwitter、ブログでの発言が話題になりました。簡単に言うと、「日本の大学には東大以外、行く意味がない」という論です。3月18日付の彼のブログには「ホント、日本の大学の学部行ってる学生は今すぐ辞めたほうがいいと思うよ。。。」というエントリーが掲載されています。
要するに、堀江氏は、日本の大学の教育力が低いこと、モラトリアムと化していること、東大などは過剰に評価されていること(ブランド化していること)などを言いたいのでしょう。
あまりにも荒唐無稽すぎるので、なんですが、突っ込みどころをまずは7点あげてみましょう。
堀江論の7つの突っ込みどころ
【1】大学にいかないと、年収において損をする
『検証・学歴の効用』(濱中淳子 勁草書房)という本の論をご紹介します。厚生労働省の『賃金構造基本統計調査』によると、最終学歴別で見た場合、大卒者は20代後半の頃から中卒、高卒、高専・短大卒に対して年収の差がつき、高い年収を得るようになっていきます。
より具体的に言うと、1975年の時点では各学歴の生涯賃金の格差は「中卒−高卒」間で13.8百万円、「高卒−高専・短大卒」間で18.4百万円、「高専・短大卒−大卒」間で15.4百万円と、ほぼ等間隔の差でした。
これが2010年になると、「中卒−高卒」間の差は17.1百万円、「高卒−高専・短大卒」間は6.9百万円、「高専・短大卒−大卒」間は49.8百万円。このように、高専・短大卒−大卒」の差が大きくなり、大卒がますます有利になっています。
また、賃金カーブについても、2010年においては、20代後半で違いが生じ始め、40代前半まで急上昇する傾向にあります。
もちろん、出身大学にもよりますし、今後は変動することも考えられますが。ただ、全体のデータを見る限り、「東大以外は無駄」とはいえないと思います。
【2】高卒の仕事が少なくなってしまった
産業構造の変化、製造業の海外移転、大学生の増加などにより、従来高校生が就いていた仕事が少なくなってしまいました。もちろん、これは鶏が先か、卵が先かという話でもあるのですが。特に、高卒のホワイトカラーと、工場の作業員などにおいて顕著です。
だから、就職するために、大学に行かなくてはならないという構造になっているのです。
このあたりは、『日本で働くのは本当に損なのか』(海老原嗣生 PHP研究所)などが参考になります。
【3】大学はモラトリアムでもなくなってきている
理系などの忙しさは言うまでもありません。文系においても、最近は出席が厳しくなってきています。就職の際に、学業のこと、成績のことについて質問する動きが話題になるなど、モラトリアムでもなくなってきています。