投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、3月24日~3月28日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、3月期末に向けた本邦機関投資家のリパトリ(外貨建て資産売却・円買い)で上値が重い展開の中、ウクライナ情勢の展開、日米のインフレ率、中国人民元の動向などを見極める展開が予想される。
【ウクライナ情勢】
プーチン・ロシア大統領がクリミア自治共和国のロシア編入を強行したことで、欧米英とロシアとの対立深刻化が懸念されている。オバマ米政権が「OFAC規制」(米国大統領が国家の安全保障を脅かすとして指定した国、法人などをリストとして公表し、それらが保有する資産の凍結等について規定する)を発動し、ロシア国家及び金融機関の資産凍結を強行した場合、ロシアも米国債の売却などを警告しており予断を許さない状況が続く。
【中国人民元のレッドライン:6.20元】
中国人民銀行が、中国人民元の許容変動幅を拡大(±1%から±2%へ)したことで、中国人民元が、レッドラインと見なされていた6.20元を超えて続落している。中国政府は、理財商品などのデフォルト(債務不履行)を容認する姿勢を見せており、約5000億ドルとの見方もある投機筋の人民元買いポジションの手仕舞いに警戒する展開となる。
【日本の3月上旬貿易収支】(28日)
日本の貿易収支は、20カ月連続して貿易赤字を記録しており、3月も21カ月連続の貿易赤字が予想されている。貿易赤字の継続は、ドル・円を下支えする要因となる。
【日米のインフレ率】(28日)
日本の2月のインフレ率(コア消費者物価指数)は、前年比+1.3%と予想されており、1月の前年比+1.3%と変わらずと見込まれている。米国の2月のインフレ率(コア個人消費支出価格指数)は、前年比+1.1%と予想されており、1月の前年比+1.1%と変わらずと見込まれている。日米のインフレ率が予想通りならば、ドル・円相場への影響は限定的だと予想される。
【リパトリ】
3月期末決算に向けた本邦機関投資家によるリパトリにより円買い圧力が強まることが予想される。
3月24日-28日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。