「相撲界のホープ」と賞賛される、東前頭筆頭・遠藤(23)。遠藤は日大時代に獲ったアマ横綱、国体横綱のタイトルを引っ提げて華々しくデビュー。わずか3場所という、史上最速で幕内まで一気に駆け上がった。髪が伸びるのが出世に追いつかず、大銀杏が結えないまま土俵に上がっている。
横綱・大関とも対戦する前頭筆頭まで番付を上げた大阪場所では、初日から横綱や三役に4連敗と苦戦したが、5日目から4連勝。中日、エジプト人力士・大砂嵐との一戦は、前述の通り大いに盛り上がった。しかし、ある古参力士は衝撃の言葉を口にした。
「遠藤は横綱にはなれないよ。かわいそうだが、彼の経歴が問題だ」
角界では「学生出身の力士は出世できない」といわれている。過去の事例を見ても、それは明らかだ。
学生相撲からプロ入りした第一号は豊山(後の時津風理事長)。学生力士初の大関となったが、幕内優勝の経験がないまま引退。また、アマ17冠で“アマ相撲最強”といわれた服部は、幕内在位はわずか11場所。最高位は前頭3枚目だった。
“大ちゃん”の愛称で親しまれた朝潮は、近大で2年連続学生横綱となり、わずか4場所で新入幕。しかし大関まで昇進したが、優勝は1回だけ。その後も武双山、出島、雅山、琴光喜などが登場するが、どれも大関まで昇進するものの、横綱にはなれていない。唯一の例外が輪島である。「黄金の左」を武器に、初土俵から3年半のスピードで初の学生出身の横綱となった。
「学生力士が出世できないのは、取り口にクセがあるため。学生時代は体力で圧倒できていたが、プロの厳しい立ち合いでは常に不利な体勢となる。一度身についた癖はなかなか治らず、三役にも上がれず引退した者も多い」(前出の力士)
遠藤もすでに立ち合いの甘さを指摘されている。学生時代は勝てても、大相撲ではそうはいかない。そして学生力士“最大の敵”は、先輩後輩の関係だ。