舛添要一氏が都知事選で圧勝し、2020年の五輪に向かって動き始めた。五輪を起爆剤に経済・産業の新たな展開に期待する声は多いが、大前研一氏は「舛添氏はわかっていない」と切り捨てる。以下、大前氏の解説だ。
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東京都知事選に圧勝した舛添要一氏は「2020年を史上最高の大会にする」「晴海の選手村は再生エネルギーで運営したい」「オリンピックまでに首都高速の全面改修をする」などと高らかに宣言した。だが、私は悲しくて仕方がない。なぜなら東京を生まれ変わらせる可能性を秘めた貴重な湾岸エリアの土地が2020年までの6年間も“塩漬け”にされてしまうからだ。
東京都の計画は、晴海に選手村として約5000戸分の中層の建物を造り、オリンピック後はそれを民間住宅にそのまま転用するという矮小なものである。豊洲に移転する築地市場の跡地利用にいたっては、まとまったものは何も決まっていない。
晴海と築地市場跡地、勝どき、豊洲、そして体操競技場や自転車競技場などのオリンピック関連施設が建設される予定の有明を含めた湾岸エリアは、東京の最後のフロンティアと言える。この土地こそ、真の国際都市として首都を再生させる一大拠点になりうる唯一無二の場所だと思う。
仮に湾岸エリアを世界中からヒト・カネ・モノ・情報を(オリンピックの約2週間だけではなくずっと、そして毎日)呼び込むための「職住接近24時間タウン」として一体的に再開発すれば、首都の風景は一変するはずだ。
具体的には、外資系企業が来たくなるような住環境・生活環境・教育環境(高級住宅地、奥さんの仕事場や集まれるコミュニティ、インターナショナルスクールなどの学校、教会など)が整った魅力的な街にする。
そしてアメリカ・シリコンバレーのスタンフォード大学があるパロアルトのように、斬新なアイデアを持った若者たちと投資家や弁護士、インキュベーターなど起業プロフェッショナル集団との出会いの場となる街にすることを提言したい。