税率5%から8%へ、いよいよ消費増税がスタートするが、日本経済への影響はどうなるのか。増税を経ても景気は落ち込まないという意見も多い中、それに異を唱えるのが経済アナリスト・森永卓郎氏だ。消費増税の負のインパクトについて、森永氏が解説する。
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現在、今後の日本経済の見通しについて、異常とも思える楽観論が主流を占めています。たとえば、毎日新聞が年初にまとめた主要123社に対する景気アンケートで、77%の企業経営者が「落ち込みは一時的で、夏以降は回復」と答え、「落ち込まない」の7%と合わせて8割超は景気の腰折れを回避できると回答。「腰折れする」はわずか3%に過ぎませんでした。
4月の消費税引き上げ前の駆け込み需要の反動が出て、4~6月期は一時的に景気が冷え込むが、日本経済は失速せず、7~9月期から一気に回復すると、大部分の経営者は考えているようです。
大企業の経営者だけではなく、ほとんどのシンクタンクやエコノミストたちも、消費増税のショックを駆け込み需要の反動程度にしか認識していないようなのです。今や、その見方が超主流派となり、消費増税の深刻な影響を指摘すれば、「非国民」扱いされかねない空気があります。
しかし、私は非国民と呼ばれるのを覚悟で、主流派が見ているより「消費増税の負のインパクトは大きい」と考えています。
私が経済予測の仕事をするようになって33年経ちますが、その経験の中でひとつだけ間違いのない法則があります。それは、「皆の予測が一致した時は、その見方は当たらない」というものです。したがって今回も、主流派の予測は当たらない、と私は考えています。なぜならば、まずこうした景気楽観論には根拠がほとんどないからです。