浮世絵の構図を参考にして撮影し、和紙に印刷された桜──まるで絵を描くように、彩度や濃度を調整して自然な質感と色合いに仕上げられた作品は、写真というより一幅の日本画のようだ。
20年以上パリを拠点に活動、世界40か国以上を訪れ、日本では安部公房や市川團十郎、村上春樹らのポートレートでも知られる写真家・景山正夫氏の世界である。
6年前に青森・弘前を訪れたとき、その美しさと生命力に魅了されたのがきっかけだった。4年前からは弘前に家を借り、朝、昼、晩、四季折々にシャッターを押し続け、今では「他の桜は撮らない」というほど虜になった。ご覧いただく作品は、お濠の水面に舞い散る花びらや怖いくらい美しい夜桜など様々。53種2600本といわれる桜はいろいろな表情を見せてくれるという。
斬新な写真表現がつくり出したかつて見たことのない「日本の美」に酔いしれてみるのはいかがか。
◆景山正夫写真展「弘前城・悠久の桜」
●3月28日(金)~4月2日(水)12時~18時(最終日は16時まで)
市田邸 東京都台東区上野桜木1-6-2(入場無料)
http://taireki.com/ichidatei/index.itml
●4月3日(木)~8日(火) 11時~18時(最終日は16時まで)
櫻文堂(さくら通り前) 東京都国立市富士見台1-36-6(入場無料)
http://www.oubundou.com
撮影■景山正夫
※週刊ポスト2014年4月4・11日号