3月末、中国の格安航空会社(LCC)・春秋航空を擁する春秋グループが、旅行大手JTBと業務・資本提携するというニュースは、衝撃を持って受け止められた。
「アジアを中心とした新興国市場を重視する」ことを掲げるJTBグループの経営計画と合致するとはいえ、その相手選びはどうなのか、という疑問も浮上する。
これまでもJTBは同じLCCであるジェットスターを使ったプランをネット限定で販売してきた。だが、今回は5%以内とはいえ資本提携まで行なうほど手厚く迎えている。
だが、当の春秋航空には多くの“逸話”がある。
2009年、春秋グループ董事長の王正華氏が機体の一部を立ち乗り席にし、板状のものに寄りかかるようにして座席を増やす計画をぶち上げた。
だが、さすがの中国といえども航空当局から安全面での「待った」がかかり、そのまま立ち消えになっていた。
だが、春秋航空はあきらめない。今年3月になって再びその計画を再燃させている。
中国の現地紙の中には“立ち乗り予想図”をイラストで掲載しているものも。中には太った乗客の腹が圧迫され苦しむデフォルメを施されたものまであって、中国人にも受け入れられているとは思えない。
また、初めて日本人キャビンアテンダントを募集した際には<ワキ臭、O脚、水虫がないこと>などといった、目を疑うような募集要項を出したこともある。
さらに、日本向けにはこんな「がっかりサプライズ」が。
JTBとの提携発表に併せて、春秋グループ傘下の「春秋航空日本」が6月27日に成田空港を拠点に、日本国内線を就航させることが正式にアナウンスされた。
気になる値段は成田―高松が5630円と、競合するジェットスターの4990円を上回る、意外にも弱気の設定だったのだ。
ちなみに、その他の路線は成田―佐賀5700円、成田―広島5690円という設定。
唯一の救いは広島便。広島空港へは同社が初のLCC乗り入れになる。新幹線なら東京―広島は1万8000円を超えるから、ビジネス需要でも充分戦えそうだ。とはいえ、本国の拠点である上海からの便が発着するのは茨城空港。日本国内線拠点の成田空港とは距離があるなど、いまだ課題は少なくない。