40年来にわたってヨガの研究を続けている「龍村ヨガ研究所」所長で『龍村式耳ヨガ健康法』(日貿出版社刊)著者の龍村修氏の案内による、今すぐ簡単にできる「耳ヨガ」の理論とやり方を紹介しよう。
耳を上下に折りたたんでみて、痛みを感じるだろうか。龍村氏は耳の柔らかさや温度から、その人の健康状態がわかるのだという。
「東洋医学では、老化が進んだり、病気で体力が著しく消耗されると、耳が硬くなるといわれています。上下に折りたたんでも、痛くないのが理想。柔らかく温かな耳は、健康の証なのです」
試しに龍村氏の耳に触れてみると、びっくりするほど柔らかい。力をほとんど入れなくても折りたためる。
「赤ちゃんの耳のような本来の柔らかさを取り戻すのが、耳ヨガです。東洋医学の人体観『部分即全体』を基盤に、耳を“全身の縮図”として捉えてツボ刺激を行なう。耳を通じて全身の気の流れをよくして、諸症状を解消します」
部分即全体とは、手や足など、各部位に全身が投影されているとする考え方。耳は胎内の赤ちゃんに見立てられるという。
「耳を上部・中央部・下部の3つにわけ、下部の耳たぶは頭、中央は内臓や腕など胴体、上部は脚にあたると考えます。耳の前面が腹側で、後ろが背中側。耳の内側(付け根側)、中間、外側とわけた場合は、内側は消化器系や呼吸器系に、中間は神経系、外側は循環器系と排泄器系に相応しています」
触って硬いと感じる場所が、相応する身体部位の不調を表わす。胃や肺に不調を感じたら、耳穴近くを指でつまんで、もむことで症状改善が期待できるという。眼ヨガと同じく、深呼吸に合わせて行なうことを忘れずに。