増税による混乱は、渋谷のラブホテル街にも及んだ。0時になったとたんにホテルから出てくるカップルが相次いだのだ。日付をまたがないように、慌てて終わらせてきたのか、カウントダウンで急がされる男性の“苦労”がしのばれる。
混雑がひときわ目立ったのは、ガソリンスタンドだ。大阪市内のある幹線道路では、23時を回った頃から大渋滞が起きた。増税前にガソリンを満タンにしておこうと、車が長蛇の列をつくったからだ。その幹線道路から100メートル入ったところにあるガソリンスタンドは通常24時間営業だが、この日は入り口に「3月31日は23時30分で閉店」の大きな看板が立てられていた。日付が変わる時の混乱を避けるため、午前1時から営業を再開するという。
23時30分。店内の照明の一部が消され、車が入れないように店員が赤いコーンを並べ始める。その瞬間、2台の車が、店員をはね飛ばしそうな勢いでスタンドに突っ込んできた。
すると、今度は逆の出口側から、個人タクシーが猛スピードで逆走してきて、スタンド内に突入。「危ない、危ない! 逆走ですよ!」と店員が大声を上げる。結局、客の必死さに押し切られる形で、店員は3台すべてにガソリンを入れていた。
※週刊ポスト2014年4月18日号