数多くのクリエーターが作ったコンテンツ(記事や漫画等様々)を読める有料課金サイト「cakes」を運営するピースオブケイクが7日、個人が動画・文章・音楽等を投稿し、それらコンテンツに課金をすることもできるプラットフォーム「note」を開始した。
登録者数は開始日に1万人を突破し、4月11日には3万人を突破した。ツイッターのように短文だけを投稿するユーザーもいれば、作品や何らかのおトク情報を販売する人や、単に「100円下さい」と書くだけの人もいるなど、多種多様な使い方をされている。ピースオブケイクの加藤貞顕氏にnoteを作った意図と、今後の展開について聞いてみた。
加藤氏は「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(ダイヤモンド社)の編集者でもあり、堀江貴文氏のベストセラー『ゼロ』を編集しつつ、さらには販売前にcakesで掲載するなど、紙とネット両方に精通した編集者である。noteについて聞く前に、加藤氏はそもそもcakesをなぜ作ったのか。その背景をこう語る。
「元々クリエーターがコンテンツを作り、売る場所として本や雑誌がありました。しかし今はこうした紙媒体がネットに押されている状況があります。だったらクリエーターがネットで活動する場所を作れたらいいと思ったのですね。cakesはクリエーターが一つの場所に集合し、読者はそれらをまとめて見られる。いわば雑誌のような場所です」
雑誌はたくさんのクリエーターが集まって読者と出会いが生まれる場で、そこにそれぞれのファンが集まる。cakesはネット上でそれを実現した。ただ、加藤氏は「クリエーターは『本』のような自分だけのメディアでの活動も必要。それがネットにはない」と感じていた。つまり、cakesのように、「一カ所で多くのクリエーター作品を読める場」ではなく、「個人」がもっと立つ場所ということだ。
当然、デジタルで本に該当するものとしては電子書籍がある。しかし、あくまでも紙の本に書かれてあった内容を「電子」の形でダウンロードできるもので、本質的な違いはない。メルマガにしてもクリエーターが書いたものを読者は一方的に受けるのが基本の形式だ。加藤氏はデジタルでの「本」の形は、クリエーターと読者にやり取りがあって、それぞれが入り乱れて交流し合う、「ウェブによりそったインターフェイス」でやりたかったのだという。