日本と韓国・中国の関係が悪化する中、韓国の朴槿恵大統領は中国との反日歴史共闘路線に本格的に踏み込んだ。今後具体化すると考えられるのが両国による歴史の共同研究だ。韓国政府は1月に中国、東南アジア諸国と共同で、日本による「帝国主義侵略史」を研究する構想を公表。中国側は外交部の報道官が会見で「韓国が日本の侵略史について国際共同研究を行なうと決定したことを我々は支持する」と応じていた。
だが、実はこれは韓国にとって諸刃の剣になる。韓国と中国が「歴史共同研究」にどういうスタンスで臨むのかは、これまでに日本・韓国、日本・中国の間で行なわれてきた共同研究の例を検証することで見えてくる。
まず日韓の歴史共同研究は、第一期が2002~2005年、第二期が2007~2010年に実施された。第二期に研究委員として参加した佐賀大学の永島広紀准教授(朝鮮史学)はこう振り返る。
「結局のところ、韓国側の研究者は扶桑社の『新しい歴史教科書』を攻撃するばかりでした。研究ではなく一種の政治ショーです。
第一期は教科書が研究テーマから外されていたのですが、韓国側が『それでは示しがつかない』と要求したため、第二期では古代史、中近世史、近現代史の研究グループに加え、教科書小グループが作られた。すると今度は、教科書担当以外のグループの研究者がやたらと教科書問題に口を出し、さらには韓国側の古代史グループが勝手に教科書問題を研究テーマに加えようとしていることが判明した。
日本側が強く抗議したところ、古代史担当の委員の一人が突然、『人格攻撃を受けた』と言い出し、長期にわたって会合が紛糾することがありました。特定の教科書の記述を攻撃するのが目的で、研究なんて彼らにはどうでもよかったのでしょう」