ライフ

遠足バス事件 土下座で「手配忘れ」は解決できたはずと識者

 遠足バスの手配を忘れた旅行会社員が、遠足を中止させようとニセの手紙を学校に送っていた事件が発覚した。あまにもバカバカしい思考だが、大人力コラムニストの石原壮一郎氏が「大人のリカバリーの仕方」を考える。

 * * *
 あきれていいのか腹を立てていいのか笑っていいのか、いろんな要素ギッシリの事件です。JTB中部多治見支店の男性社員が、県立高校の遠足用大型バスの手配ミスを隠すために、生徒を装って自殺を示唆する内容の手紙を学校に届けて、遠足が中止になるように画策。ところが、学校は全校生徒の意思を確認した上で遠足を決行することにしたため、翌朝になって生徒が待っていたのにバスが来ないという事態になりました。

 この社員は「遠足に行くのが死ぬほどつらい。消えたい。中止してほしい」などと書いた手紙を自分で持って、学校の玄関のところに落ちていたと言って学校に届けたとか。姑息なごまかしはあっけなくバレて、知事が「言語道断」と非難したり、観光庁が営業停止などの処分を検討したりなど、どんどん騒ぎが大きくなっています。

 ミスをウソで隠そうとしても泥沼に陥るだけ――。今回の事件は、そのことをあらためて思い知らせてくれました。ただ、大人にとって仕事でミスをしてしまうこと自体は、他人事ではありません。誰しもウソで隠したい誘惑にかられたり、小さなウソをついてしまったりした覚えはあるはず。このアホな社員を反面教師に、ミスをしたときの大人のリカバリーについて考えてみましょう。

 前日の段階で「あっ! バスの手配してない!」と気づいたとき、この社員はどうすればよかったのか。ひとりで抱え込んでしまったのが、最大にして根本的な失敗です。上司をはじめ周囲に「絶体絶命のピンチ」ということを知らせて、力を貸してもらう体制を作る必要がありました。みんなの前で土下座のひとつもすれば、めちゃくちゃ怒られはするでしょうけど、誰かのつながりのあるバス会社に無理を聞いてもらえた可能性もゼロではなかったはず。学校でも校長先生に土下座して、すべて話した上で対応策をいっしょに考えることもできたでしょう。

 ただ、その社員は言い出す勇気を振り絞れず、ダメな方向に知恵を絞ってしまいました。大人としてあらためて学びたいのが、「弱味を見せられる大人は強い」という教訓。その社員がどういうタイプだったかはわかりませんが、常に完璧を目指していたりカッコイイ自分を見せようとしたりしていると、イザという場面で弱味を見せられません。

関連キーワード

関連記事

トピックス

約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
チェーン店ではない昔ながらのレトロな喫茶店は日本の若者だけでなくインバウンド客からも人気を集めている(写真提供/イメージマート)
インバウンド客が行列をつくる「レトロな喫茶店」 マスターが悩まされる支払いトラブル「ドルしかない」客に「コンビニでおろしてきて」と伝えても「十中八九、戻ってこない」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
事件は、琵琶湖からほど近い滋賀県長浜市の閑静な住宅街で起きた(時事通信フォト)
「死んじゃうんじゃないの、なんて冗談を…」裁判所事務官の“黄色い家”の冷凍庫から女性遺体 証言で浮かび上がった“奇妙な家族関係”《事件の端緒はある夫婦の遺書》
NEWSポストセブン
米国からエルサルバドルに送還されたベネズエラのギャング組織のメンバーら(AFP PHOTO / EL SALVADOR'S PRESIDENCY PRESS OFFICE)
“世界最恐の刑務所”に移送された“後ろ手拘束・丸刈り”の凶悪ギャング「刑務所を制圧しプールやナイトクラブを設営」した荒くれ者たち《エルサルバドル大統領の強権的な治安対策》
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
会見中、涙を拭う尼僧の叡敦(えいちょう)氏
【天台宗僧侶の性加害告発】フジテレビと同じ構造の問題ながら解決へ前進しない理由とは 被害女性への聞き取りも第三者の検証もなく、加害住職の「僧籍剥奪せず」を判断
NEWSポストセブン
中居正広氏とフジテレビ社屋(時事通信フォト)
【被害女性Aさん フジ問題で独占告白】「理不尽な思いをしている方がたくさん…」彼女はいま何を思い、何を求めるのか
週刊ポスト
食道がんであることを公表した石橋貴明、元妻の鈴木保奈美は沈黙を貫いている(左/Instagramより)
《食道がん公表のとんねるず・石橋貴明(63)》社長と所属女優として沈黙貫く元妻の鈴木保奈美との距離感、長女との確執乗り越え…「初孫抱いて見せていた笑顔」
NEWSポストセブン
生活を“ふつう”に送りたいだけなのに(写真/イメージマート)
【パニックで頬を何度も殴り…】発達障害の女子高生に「生徒や教員の安心が確保できない」と自主退学を勧告、《合理的配慮》の限界とは
NEWSポストセブン
5人での再始動にファンからは歓喜の声が上がった
《RIP SLYMEが5人で再始動》“雪解け”匂わすツーショット写真と、ファンを熱狂させた“フライング投稿”「ボタンのかけ違いがあった事に気付かされました」
NEWSポストセブン