中国で1999年から毎年、富豪ランキングを発表している民間研究機関である胡潤研究所によると、この15年間の長者番付に載った富豪2188人のうち、汚職などの犯罪案件で逮捕・入獄されたのは27人だった。中国では経済人と党・政府高官の癒着体質が強いだけに、政治的影響力が弱まった党政府高官と一蓮托生の経済人も塀の中に落ちるという構図が描けそうだ。
裁判で有罪になった富豪27人の年齢は40~49歳の間で、平均年齢は46歳。判決は平均で懲役10年。罪状については汚職、知的財産権侵犯などでなっている。
これについて、中国政府のシンクタンク、中国社会科学院の焚文・法学研究所副研究員は「これらの富豪はほぼ30歳で起業しており、40代は最も事業が順調に発展している時期。さらに、10年以上のキャリアもあり、自分の経営手腕を過信して、安易な事業展開を図り、つい賄賂などに頼ってしまう」と分析する。
また、北京の中国共産党筋は「経済人は事業を有利にするため、事業の許認可の決定権をもつ党高官と癒着しやすい。このため、党幹部が政治的に失脚すると、芋づる式に経済人も逮捕されてしまうケースが多い」と指摘。逮捕された富豪27人は全体からみると、わずか1.2%であり、不正を働いたとしても、党高官の庇護の下、逮捕されないケースも多数存在していると同筋はみる。
これは多くの企業が政府や党の高官を経験した引退幹部を社外取締役や執行役員として招いていることでも分かる。