統一球問題に揺れる日本のプロ野球。スカッとした話題がほしい。大人力コラムニスト・石原壮一郎氏は「今こそ大リーグボールの研究を」と訴える。
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「漫画みたい!」という言葉は、いい意味にも悪い意味にも使われます。先日、サッカーJ1・川崎フロンターレの中村憲剛選手と大久保嘉人選手が、最高にいい意味で「漫画みたい!」という言葉にふさわしい偉業を達成しました。
世界で人気のサッカー漫画『キャプテン翼』(高橋陽一作)とJリーグとのコラボ企画「DREAM SHOOT」で、ふたりが作品の中に登場する「反動蹴速迅砲(はんどうしゅうそくじんほう)」を実際に成功させたのです。相手が蹴ったボールを蹴り返して威力を倍加させるというもので、「DREAMSHOOT.NET」で公開されている動画では、中村選手が蹴ったボールを大久保選手がダイレクトで方向を変えて、見事にゴールが決まっています。
『キャプテン翼』に親しんだ世代より、もうちょっと上の中年世代が子どものころに憧れたスポーツ漫画といえば、何といっても『巨人の星』です。サッカーに対抗して、ぜひ野球にも「漫画みたい」なことにチャレンジしてほしいところ。『キャプテン翼』に数々の必殺シュートが登場するように、『巨人の星』には「大リーグボール」があります。
統一球の飛距離の問題など、どこかミミッチイ感が漂う騒動を豪快に吹き飛ばすためにも、日本プロ野球機構あたりに「DAILEAGUEBALL.NET」のサイトを作ってもらって、人気と実力を兼ね備えた投手に「大リーグボール1号~3号」に挑戦してもらいましょう。「そんな漫画みたいなことができるわけない」と、したり顔でせせら笑うのは簡単です。しかし、そう言ってしまっては夢も希望もありません。
どんどん世知辛くなっていく世の中で、子どもたち以上に夢が必要なのは、ほかならぬ中年世代です。「DAILEAGUEBALL.NET」のサイトができるかどうかはさておき、同世代で酒を酌み交わしたときには、誰に「大リーグボール」を投げさせるかということを肴にしてみるのはどうでしょうか。「イキがいいところで、オリックスの西はどうだ」「いやいや、広島の野村も捨てがたい」「中日の山本マサが大リーグボールで大復活なんてことになったら、まさに漫画だぜ!」といった調子で話は尽きず、さぞうまい酒が飲めそうです。