芸能

滝藤賢一怪演「俺のダンディズム」 薀蓄ドラマという新境地

 世相を映すドラマ、比較しながら見てみると思わぬ発見に行き着くこともある。作家で五感生活研究所の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 神奈川・鎌倉を舞台に大人の青春を描く人気ドラマ「続・最後から二番目の恋」(フジテレビ系木曜午後10時)。特に、居酒屋での中井貴一と小泉今日子の、丁々発止のやりとりが話題です。ああ言えばこう言うスピード感のある会話が、視聴者の心を惹きつけるらしい。

「ドラマを見ると何でも言い合える男友だちが欲しくなる」という感想も耳にします。

 他のドラマが、一様に事件や医療、企業ものに走っている昨今。事件や出来事の「原因」を見つけ、問題を「解決」するというストーリーばかりが溢れているさなか。人間のモヤモヤした思い、解決できない心を扱う「恋愛ドラマ」は、ある意味、希少価値ある特別枠になっているのかも。

「続・最後から二番目の恋」には、女たちの満たされない思いが描かれる。

 自分をわかってほしい。共感できる相手が欲しい。必ずしも恋愛関係でなくてもいい。「そうそう」とうなずきあえる人間関係が、日常の中にいくつ作れるのか。女という生き物が、いかに「相手を求める生き物か」が見えてくる。その意味で、アラフォー女性のニーズをぐっと掴んでいるドラマと言えるのでしょう。

 注目のドラマがもう一つ。

「続・最後から二番目の恋」とは、まったくと言っていいほど対照的。主役もターゲットも中年男。時間帯は深夜、視聴率も制作費のかけ方も比べる方が無理。

「俺のダンディズム」(テレビ東京系水曜日午後11時58分)の主人公・段田を演じるのは半沢直樹でブレイクした滝藤賢一。初主演ドラマです。

 段田は年収710万円のサラリーマン課長。お気に入りの女性部下から「ダンディな大人の男性がタイプ」という発言を聞いてしまう。よし。くたびれリーマンを脱して、ダンディズムを極めようと一念発起。

「万年筆」「時計」「靴」「手帳」……。

 ドラマには、ダンディなアイテムが毎回1つずつ登場します。段田はミステリアスな女店主から、歴史、蘊蓄、ブランド価値、最新の人気ラインアップまで、徹底的にレクチャーしてもらって中年モテ期へと突入する意気込み。

 このドラマは、モノの情報をしっかり盛っている。けれども、ただの説明には陥らない。滝藤賢一が「体当たり」でダンディなモノに対峙し、萌えるからでしょう。身をよじらせてモノの魅力を体で表現しようと苦闘するあたり、さすが「無名塾」出身の舞台人。

 情報伝達と、ストーリーと、役者の肉体表現が渾然一体。見たことのない、「うんちくドラマ」という新カテゴリーを創り上げているところがアッパレ。「企画力があれば面白いコンテンツは作れる」というテレビ東京の矜恃を見るようです。

 と、まったく対照的な2つのドラマ。ですが、実は2つには共通点がある。

関連記事

トピックス

大阪・関西万博で天皇皇后両陛下を出迎えた女優の藤原紀香(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《天皇皇后両陛下を出迎え》藤原紀香、万博での白ワイドパンツ&着物スタイルで見せた「梨園の妻」としての凜とした姿 
NEWSポストセブン
石川県の被災地で「沈金」をご体験された佳子さま(2025年4月、石川県・輪島市。撮影/JMPA)
《インナーの胸元にはフリルで”甘さ”も》佳子さま、色味を抑えたシックなパンツスーツで石川県の被災地で「沈金」をご体験 
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン
隣の新入生とお話しされる場面も(時事通信フォト)
《悠仁さま入学の直前》筑波大学長が日本とブラジルの友好増進を図る宮中晩餐会に招待されていた 「秋篠宮夫妻との会話はあったのか?」の問いに大学側が否定した事情
週刊ポスト
新調した桜色のスーツをお召しになる雅子さま(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
雅子さま、万博開会式に桜色のスーツでご出席 硫黄島日帰り訪問直後の超過密日程でもにこやかな表情、お召し物はこの日に合わせて新調 
女性セブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市早苗が激白「私ならトランプと……」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市早苗が激白「私ならトランプと……」ほか
週刊ポスト