ファミリー経営を重視しながらも、身内の争いが起きる可能性を秘めているとは皮肉な話だが、それだけ代変わりの難しさが潜んでいるのだ。
前出の黒田氏は2代目・健熙氏と新3代目・在鎔氏でユニークな比較をする。
「サムスンは創業者が『日本に追いつけ追い越せ』と、とにかく日本企業のビジネスの深さを子供たちに学ばせて大きくなった企業。そのため、健熙氏は早稲田大学商学部を卒業し、しばらく日本に居を構えるほど日本を意識していました。
そして、3代目の在鎔氏もソウル大で東洋史を専攻した後に、慶応大や米ハーバード大の大学院で経営学を学んでいます。日本メーカーとの関係も深いサムスンだけに、早稲田から慶応へと経営が移って日本法人がどうなるのかも興味深いところだと思います」
日本では“3代目が会社を滅ぼす”と言われる。グループ全体の売上高が韓国のGDPの約20%を占めるサムスンだけに、在鎔氏の経営手腕いかんによっては、韓国経済の今後を左右しかねないことは確かだ。