熟年離婚が増加する一方で「熟年再婚」も増加しているが、見事ゴールインしても幸せな結末ばかりとは限らない。「スピード破局」に至った例もある。
大企業の部長だった男性は定年を機に熟年離婚を迫られ、前妻には退職金の3分の1を渡して、残りの退職金と年金は渡さないことで合意した。ローンを完済した自宅も手元に残した。
それでもさみしさから再婚を急ぎ、容姿端麗でお花とピアノを教える50代女性に出会い、即座に結婚。ところが、同居して1か月も経たないうちに化けの皮が剥がれた。女性はお花の稽古で自宅を占拠し、片付けなどもしない。それまで家事などしたことがなかった男性はこき使われ、あげくに「もっと稼いで」と週末のアルバイトにまで駆り出された。
やがて独り暮らしよりもミジメな生活に耐えかねて男性から別れを切り出すと、「お花の教室があるから、あなたが出ていって」といい出す始末。
結局、結婚生活が短く、男性が不貞行為などを働いていないことから自宅は取られずに済んだが、妻への迷惑料として250万円、離婚手続きに要した弁護士費用100万円など、もろもろ合わせると500万円の損失になったという。
「東京家族ラボ」を主宰する池内ひろ美氏の指摘だ。
「仕事で成功体験を持つ男性はいざひとりになると自分では何もできないため、どうしても再婚を焦ってしまう。本来、シニアは結婚の天国と地獄を知っているはずなのに、その経験を活かせている人は意外に少ない。
まずは、結婚に対する幻想を捨ててください。家事ができるとか、見た目などを求めるよりも、居心地がいいことを優先すべき。それを結婚前に知るためにもじっくりとお付き合いする。残り少ない人生だからと焦りは禁物です」
その他、破局の理由としてよく聞かれるのが、「前のパートナーとの比較」や「収入や資産をごまかしていた」など。「病歴があったのに黙っていた」といった健康問題もある。相手も経験豊富である以上、ウソやごまかしはやがて見破られると覚悟すべきだ。
では、どうすれば成功に導けるのか。