世論調査は無作為抽出で行なわれる。朝日の調査に産経の読者が答える場合もあるし、逆もある。それなのになぜ、こんな結果になるのか。
質問の仕方に秘密があった。朝日と毎日の質問項目は、賛成か、反対かの二者択一になっているが、読売と産経はどちらも集団的自衛権について「全面的に使えるようにすべきだ」「使えるようにすべきではない」の他に、「必要最小限度で使えるようにすべきだ」という選択肢が追加されている。
必要最小限とは、「これだけはどうしても必要だ」という意味だ。そう質問されたら、多くの人は、“必要なんだろうな”と思ってしまう。最初から容認の答えを引き出そうとする誘導質問そのものだ。
その証拠に、読売の調査は63%、産経では59%がこの「必要最小限」を選択しており、「全面的に使えるようにすべきだ」という回答は1割程度しかない。
一方の毎日も、他の質問項目で、「日本が集団的自衛権を行使した場合、他国の戦争に巻き込まれるという指摘があります。あなたは巻き込まれる恐れがあると思いますか、思いませんか」(回答は「思う」が71%)という、集団的自衛権反対へと世論を誘導する露骨な質問をしているのだ。
※週刊ポスト2014年6月6日号