“キューバの至宝”と言われる2人の野球選手が日本球界へやってきた。フレデリク・セペダが巨人に、ユリエスキ・グリエルがDeNAへ入団。これまで社会主義国であるキューバから国外でプレーするためには、亡命する以外になかったが、昨年9月に情勢が変わり、キューバ政府が他国リーグでのプレーを認めたことで、2人の大物選手の来日が実現したのだ。
首脳陣やファンにとっては、嬉しい出来事だが、ポジションを争うチームメイトは複雑な気持ちだろう。まして、一軍出場登録選手数が決まっている外国人選手にとっては死活問題だ。
現行の制度では、外国人選手の一軍登録は4人まで。打者3人投手1人、打者2人投手2人、打者1人投手3人という3パターンが認められている。巨人には、投手はマシソン、セドン、打者はロペス、アンダーソン、セペダ。DeNAには、投手はソーサ、モスコーソ、打者はブランコ、バルディリス、グリエル。両球団とも外国人選手5人を抱えており、1人は必ず二軍にいなければならない状況だ。
巨人は、セペダの一軍登録前日に、セ・リーグトップの打率を誇ったアンダーソンがケガ。迷うことなく、2人を入れ替えた。とはいえ、このようなケースはあくまで例外。すべての外国人選手が元気な場合、巨人・原辰徳監督とDeNA・中畑清監督はどのような起用をするか迷うところだろう。
とはいえ、悩むのは監督だけではない。実は、キューバ選手の獲得発表以降、両球団の外国人選手にも異変が見られるという。スポーツライターが話す。
「巨人の場合、ロペスが開幕から5試合で4本塁打を放つなど絶好調でした。しかし、セペタの入団が発表された4月19日の5打数ノーヒットを皮切りに、バットは湿りがちに。3割近くあった打率が、交流戦に入るまでの1か月で2割5分台まで下がってしまった。不調は続き、交流戦の打率は1割2分9厘、本塁打は0で、打点も1です(6月1日現在。記録は以下同)
また、新外国人のセドンにも明らかに悪影響が見られます。初登板初勝利を挙げるなど開幕当初は好調でしたが、セペタ獲得以降は1勝3敗で防御率6.43と急に悪くなった。2人とも、『結果を残さなければ、二軍に落とされるかもしれない』という心理状況に陥り、それが悪い方向に働いているのではないでしょうか。
リリーフ陣に不安を抱えるDeNAの場合、ソーサの二軍落ちは考えづらい。打者に目を向けると、昨年2冠王のブランコ、開幕から安定しているバルディリスは外せない。先発の一角であるモスコーソが、いちばん不安を覚えるはずです。