新しい時代に相応しい義務教育の改革――。聞こえはいいが、現場の混乱や戸惑いを考慮せずにシステムばかりにこだわる改革に、大きな成果は見込めない。安田氏は最後にこう吐き捨てる。
「これまでの義務教育は制度疲労こそあったものの、曲がりなりにも安定してきたと思います。それを根底から覆そうというのだから、もっと現場の実情を踏まえた議論を重ねるべきです。
また、近年増えている中高一貫校との整合性や、区分けの違いによる自治体間の教育格差など山積する課題をひとつずつクリアにしなければ、国民全体の教育レベルは上がるどころか下がっていく羽目になるでしょう」
形にみえない「壁」を取り払うことこそ、教育改革の第一歩ではないか。