新連載15本というのはパワーがかかるわけで本気度を感じますが、目新しい企画はありませんでした。なんせ、連載のコーナーが変わっても、やはり登場人物がこれまでとあまり変わらないと感じるのです。LINEの森川社長に、朝井リョウさんに、荒川静香さん。既視感、ありまくりです。
自分磨き系のノウハウや、著名人のインタビューもいまや、ネットで手軽に読める時代です。日経ビジネスオンラインや東洋経済オンラインなど、無料で読むことができるビジネス系サイトは実に充実していると感じます。ただでさえ雑誌にとって苦しい時代なのです。これで勝てると思っているのか。心配になりました。
ここまでは、『日経ビジネスアソシエ』のリニューアルについてのツッコミどころでしたが、ここからさらに広げて、自分磨きや、それに代表される意識高い系の限界について考えてみることにします。
もともと、『日経ビジネスアソシエ』がスタートした頃は、大企業も含めて日本のビジネス界の先行き不透明感が漂っていたため、会社にしがみつかずに生きている個人を応援するというミッションがありました。ただ、この十数年で可視化されたのは、個人がいくら努力しても限界があるということではないでしょうか。一世を風靡したカツマーブームの終焉は、単に勝間和代さんが飽きられただけではなく、やっぱり頑張っても勝間さんのようにはなれないんだ、さらに、経済環境がよくならないと努力しても意味がないのだということにみんな気づいたからではないでしょうか。勝間さんの本に限らず、自己啓発系、仕事術系の本で売れている本の噂はほぼ聞いたことがありません。
自分自身、『日経ビジネスアソシエ』のかなり熱心な読者で、学んだ仕事術も職場で試しましたし、勉強会も通っていました。ただ、経済環境や会社そのものの調子が悪いと努力しても無駄だと気付きましたし、そもそも意識高い取り組みをやる前に、自分の仕事を努力しなければ意味がないと思った次第です。
やや意地悪な言い方をするならば、自分磨きというものは「自分さえ生き残ればよい」という発想です。自己満足であり、自己保身にしかすぎません。今、真に意識高い人にとって必要なのは、社会がどうなっているのかを直視すること、その上で社会をどうするかを考えることです。この時点で『日経ビジネスアソシエ』に代表される自分磨きは、意識が高そうで、実は極めて低いのではないかと思ってしまうわけです。
というわけで、『日経ビジネスアソシエ』のリニューアルをキッカケに自分磨き、意識高い系の限界を感じてしまった次第です。はい。読者は果たして増えるのでしょうか。激しく傍観したいと思います。