ナタールの新空港。市街地から20キロほど
極めつけはサンパウロである。ファンフェスタのパブリックビューイングは開幕24時間前でもやっぱりまだまだ工事をしていた。
突っ立っているオレンジつなぎのひとりに声をかけてみる。
「仕事しなくていいの?」
「いや、いま、他の作業待ちなんだ」
「これで開幕、間に合う?」
「さあ。分からない。でもワールドカップは長いからそのうち完成するんじゃないか」
結局、いくつかオープンできなかったブースと、実現できなかったイベントがありながらも、サンパウロのファンフェスタ、なんとかスタートしたらしい。
たぶん、グループリーグが終わってトーナメントになっても全土で工事は続くのだろう。開幕までがグループリーグ終了までにズレて、そのうちワールドカップが終わっても「五輪に間に合えばいいや」とブレたことを言うのだろう。それがブラジル・クオリティだ、と断言されると仕方ないのだけれど、前日工事中だったサンパウロのファフェスタにできたフライングカーペットのようなアトラクション、あれだけは絶対、乗りたくない。
■プロフィール/竹田聡一郎(たけだ そういちろう)
1979年神奈川県生まれ。同い年の小野伸二にヒールで股抜きされたことを妙な自慢としながら、フリーランスのスポーツライターとして活動。戦術やシステムを度外視した「アンチフットボールジャーナリズム宣言」をして以来、執筆依頼が激減したのが近年の悩み。著書に蹴球麦酒偏愛清貧紀行『BBB』(ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅/講談社文庫)と、スルガ銀行のサッカーweb「I Dream」で連載中のコラムを書籍化した『日々是蹴球』(講談社)がある。