実際、地中海のギリシャやクロアチアの港にはイギリス、ノルウェー、スウェーデン、デンマークなどから豪華な船が山ほど来ているし、カリブ海やメキシコのバハ・カリフォルニアの港はアメリカの船で埋め尽くされている。その大半はリタイア組で、時間に余裕があるから長期滞在している。
それに倣(なら)って日本も漁港を全面的に開放し、誰でもいつでも自由に出入りできるようにすべきだと思う。
たとえば、船を置く場合は年間艇置料2万~3万円、寄港・停泊する場合は1日1000円くらいで係留や寄港・停泊できるようにして、旨いレストランや食料品店、土産物店、給油所などを充実する。いわば「海の駅」を作るのだ。
そうすれば、地元の漁民や漁協も港と飲食や買い物で収入を得ることができるようになり、とくに三浦半島や伊豆半島、瀬戸内海、長崎の九十九島や五島列島、鹿児島の錦江湾や奄美群島、そして沖縄などでマリンレジャー関連消費が拡大するだろう。
今のところ日本で船遊びを楽しんでいる人は少ないが、その最大の理由は漁港が開放されていないことだと思う。誰でも年間2万~3万円で最寄りの漁港に船が置けて全国各地の漁港に自由に寄港・停泊できるようになれば、まず懐に余裕のある高齢者たちが食指を動かすに違いない。
※週刊ポスト2014年6月27日号